愛知県犬山市の入鹿池に2025年5月、自衛隊機が墜落した事故で、8月15日朝からクレーンを使った機体の引き揚げ作業が始まりました。しかし、現場周辺の貸しボート店では未だに休業が続いていて、一日も早い作業終了を求めています。
2025年5月14日、宮崎県の新田原基地を目指し、小牧基地を離陸した航空自衛隊のT−4練習機が、そのわずか2分後、犬山市の入鹿池に墜落しました。
消防無線には、事故発生直後の緊迫の様子が残されていました。
<消防無線(小牧市消防本部)>
「本件にあっては、入鹿池に航空機が墜落、負傷者等不明。犬山消防よりドクターヘリ、ドクターカー、ならびに防災ヘリコプター同時要請」
この事故で、乗っていた隊員2人が死亡しました。
事故から3カ月、ようやく始まった本格的な引き揚げ作業。池の上に組み立てられた台船の上に、50トンの重さまで吊り上げられるクレーンが設置され、午前9時半過ぎには、エンジンの一部とみられる大型の部品が回収される様子が確認されました。
一方、現場周辺ではいまだ影響がでています。
湖畔には貸しボート店などが並ぶ入鹿池。この時期は、ブラックバスなどを狙う釣り客で賑わうといいますが、8月15日は人の姿がありません。貸しボート店を営む男性は…。
貸しボート店を経営する男性:
「墜落以来、営業しておりません。自衛隊の要請です。やっぱり何も出せないのは痛手ですね」
自衛隊からの要請でボートを出せず、この3カ月休業が続いていて、一日も早い作業終了を求めています。
貸しボート店を経営する男性:
「一応10月に撤去作業が終わると聞いております。10月になったら店をやれるように(引き揚げ作業を)頑張ってもらって」
9月末までには作業を完了させ、事故原因の究明を進めたいとしている防衛省。海難事故の調査に詳しい専門家は、池でのこうした引き揚げ作業は異例だと指摘した上で、今後の作業の見通しについて…。
神戸大学海洋政策科学部の若林伸和教授:
「どのくらい広範囲に(部品が)散らばっているか、どういう状態になっているかにもよると思います。池の底にヘドロがあって作業がしにくいとかがあったら、(予定が)また変わってくるかもしれませんけど。特に問題が起きなければ、それほど期間を要する作業ではないと思いますので、もう少し早く終わるのではないかなと思います」