FNNでは「戦後80年、いま平和ですか」と題し、平和の現在地を探るキャンペーンを展開しています。
太平洋戦争末期、幻の戦闘機と言われた「紫電改」。
この戦闘機から、平和の大切さを伝えようとする取り組みを取材しました。
愛媛・愛南町にある「紫電改展示館」。
中央に静かにたたずむのが「紫電改」です。
当時の“日本の航空技術の到達点”と言われた最新鋭の戦闘機でした。
最大の特徴は「自動空戦フラップ」と呼ばれる装置。
旋回する性能を高め、敵の攻撃をかわしやすくしました。
戦争末期には熟練したパイロットが戦死、戦闘経験の浅いパイロットが操縦する必要があったためです。
現存する「紫電改」は世界で4機、国内ではこの1機のみとされています。
元々は愛媛県沖の海底41メートルで発見されたものでした。
1979年に引き揚げられ、その後の調査で終戦間際の豊後水道の上空でアメリカ軍機と交戦し、帰還しなかった6機のうちの1機と判明しました。
紫電改展示館・永元一広館長:
「恒久平和」を願って、この馬瀬山公園で永久保存してくださいということで現在に至ったと聞いています。
展示館の建て替え工事が進められる中、老朽化した機体を傷めないように移動させるには、多額の費用がかかることがわかりました。
このため、愛媛県は7月からクラウドファンディングを開始。
8月10日には、目標額の3800万円を上回る寄付が集まりました。
紫電改展示館・永元一広館長:
こういった展示を見ることによって当時の時代を知る。そういうことで、平和について考える一つのきっかけになればと、そう思っております。
「紫電改」から平和を願う動きは鹿児島県でも進んでいます。
阿久根市の沖合200メートル、水深3メートルの海に、空中戦の末に不時着した「紫電改」が80年間、眠ったままになっています。
2025年4月の調査では、両方の翼と2連式の20mm機銃が新たに発見されました。
東海大学海洋学研究科・木村淳准教授:
実際に翼の形状が確認できた。非常に大きな成果だったと思います。
この「紫電改」を引き揚げて展示し、戦争を知らない世代に戦争の本当の姿を伝えたい。
そんな願いを抱く人たちが2025年、NPO法人を立ち上げました。
紫電改・林大尉機を引き揚げる会 肥本英輔会長:
非常に保存状態が良いことがはっきりしましたので、できるだけ早く引き揚げたいなという気持ちがより強くなったところです。
肥本さんのNPO法人は、今後クラウドファンディングなどで資金を集め、戦後80年の2025年中に引き揚げ作業を開始したいとしています。