夏の甲子園で1回戦を突破したものの、今月10日に出場辞退した広島の名門・広陵高校。
高校によると、当時2年生の部員4人が当時1年生の部員の胸や頬を叩くなどの暴力行為があったということで、高野連は厳重注意をしていました。
その後、「部内で暴力があった」などの真偽不明の情報がSNSで拡散され、様々な誹謗中傷が広がる事態になっていました。
13日放送の関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演した弁護士の橋下徹さんは、不祥事の処分について「『連帯責任』ではなく『個人責任』を重視するルールがことし2月に制定されている』と述べ、「SNSの声に負けたなと残念に思った。素晴らしいルールを通すべきだった」と主張しました。
■「連帯責任から個人責任」重視の処分基準がことし2月に制定 橋下氏「それを貫けばよかったのに残念」
【橋下徹さん】「きのう(=12日)の夜までは、高野連の処分基準は曖昧で、なんかすごいふらふらしてる、これおかしいって言うことを、Xでも書いてたんですよ。
ただ、調べたらびっくり。2025年2月、ものすごい精緻なルールができてたんです。厳密に言うと『学生野球ルール』で大学生の野球にも適用されるんですけども。前から甲子園の不祥事の問題に関して『連帯責任がおかしい』ってことはずっと言ってたんです。
連帯責任じゃなくてやった個人を処分すればいいわけで、『丸ごとチームを出場辞退にさせるのがおかしい』とずっと言ってて、まだ引きずってるのかなと思ったら、そこを本当に変えて、『連帯責任から個人責任』に。
『チームはできるだけ出場させる』ようなルールに変えてるんですよ。だからそれを貫けば良かったのに、結局SNSの声に負けたなと思って残念です」
■広陵高校の処分は「厳重注意」 ”違反者4人以上”の基準通り
高野連の処分基準はことし2月制定、4月1日施行の「日本学生野球協会『部員の憲章違反行為と野球部への措置の運用内規』に基づいています。
一番重い処分は「対外試合禁止」で、「違反者が10人以上」または「部員総数の50%以上」です。
次に重い処分が「注意」または「厳重注意」で、「違反者が4人以上」もしくは「部員総数の20%以上」ということで、今回の広陵高校の暴力事案を当てはめた場合「厳重注意」にあたります。
■橋下氏「注意・厳重注意なら非公開」基準に賛成
【青木源太キャスター】「これをもとに高野連はしっかり処分をしていたという考えですか」
【橋下徹さん】「『注意・厳重注意』をやって、さらに公開基準もあって、『注意・厳重注意』は公開しないんです。非公開なんですよ。しかも公開基準は仮に処分をされたとしても、チームが処分された場合にはチーム名を出すけれども、部員名は絶対に出さないと。いろんな専門家が議論をして基準を作りました。
僕は賛成です。大きな柱としては、『個人が悪さをしたんだったら、個人を処分すればいいじゃないか』と。今までの高校野球の世界は、すぐチーム全体の処分に入って、全部出場辞退の方に持って行ったんですよ。
これは絶対違うと。ただ、例えば違反行為の分数が10人以上、部員総数の50%以上ってなると、さすがにこれは個人の問題とは言えなくて、チームの問題だろうということで、試合に出れないことにしてるんですけども、あとはできる限り個人をちゃんと注意する。個人に対して指導する。個人が個人に反省させる。例えば個人は試合に出れないような措置もあるんですね。個人に対するペナルティだという、まさに近代国家・日本の刑法刑罰の原理原則に戻した。ルールをカチッと決めたんですよ」
■高校側の報告がおかしいなら「『報告義務違反』として調査しながら大会出場すべき」と橋下氏
一方、青木源太キャスターはSNS上でほかにも「暴力事案があった」という情報が拡散されていることを受け、「広陵高校が高野連に報告した内容が正しい前提での処分になるのではないか」と指摘しました。
【橋下徹氏】「そこについてもルールがあるんです。それは『報告義務違反』として対処すればいいんですよ。だから、もしおかしいって言うんだったら、おかしいところを今から調査をして、報告義務違反が確定すれば、次の大会から試合出れないとか注意とか。次の大会で処分を出せばいいんです。
だって、今この広陵高校の内部調査がおかしいかどうかは『疑い』だけじゃないですか。僕らが注意しなきゃいけないのは、みんな疑いとかそういうことでペナルティーはやっちゃいけないですよ。確定するまでは『ちょっと待ちましょう』と。で、『確定してから処分を決めましょう』これが大原則で、いまはSNSの中で疑いばっかり出てる。だからこの内部調査がおかしいんだったら内部調査のおかしさをこれから調査したらいいんですよ」
橋下さんは、「大会に出場するのと並行しながら『報告義務違反』にあたるかを調査すればいい」と主張しました。
■SNS誹謗中層や爆破予告による出場辞退に橋下氏「そこ負けちゃいけない」
ただ、今回広陵高校をめぐっては、SNS上での誹謗中傷や、学校への爆破予告などもあり、高校側が甲子園の出場辞退を判断しています。
【橋下徹さん】「本当に危険で、爆破予告があって、『生徒の安全を守るため』で出場辞退というのは1つ理由があると思うんですけど、SNSでこうやって疑惑が出ることも、これからのSNSはみんな言いたいこと、いろんなことを言える時代ですから。
そのことだけで『すぐ辞めよう、辞退しよう』っていうのは絶対違うと思う。『そこ負けちゃいけない』と思うんですよ。だから今回は高野連の処分じゃなくて、広陵高校からの辞退というんだけど、本当は高野連も広陵高校も同時に2つがきちんと前面に出て、『こういうルールちゃんと作ってます』と。これからは個人にペナルティを課す時代だから、『暴力時代をやった生徒には出場辞退させてるんで、チームは別です』ってことを、僕はいまの時代だからこそ、世間に本当に強く言っていかなきゃいけないと思う」
■橋下氏「加害行為をやってない生徒まで試合に出れないのはおかしい」
【橋下徹さん】「あと、疑いのあるままでやることがどうなのかって議論あるけど。でも世の中みんなそうです。裁判が確定するまで、処分が確定するまでは、本人の権利が認められて、そのまま継続するっていうのが大原則ですからね。だから僕らもそういう意識を持たなきゃいけないと思う。高校野球の世界おかしかったですもん。『連帯責任』って戦前の話で、もういまの時代は『個人のペナルティー』だから。やっとそれになってすごいなと思った」
「被害者が納得していない可能性もある」という青木キャスターの指摘に対してはこう主張しました。
【橋下徹さん】「それは学校の中で解決すればいい。ただ、暴力事件で被害者の方が納得してなかったとしても、それは加害生徒に対して言うべき話であって、加害を行っていない生徒まで『試合に出るな』って話は違うんですよ。だから、被害者の方もしっかり主張してもらいたいと思うんです。でも、それは加害行為を行った生徒に対してペナルティを加える話ですからね。加害行為をやってない生徒まで試合に出れないとおかしい」
これに対してスタジオからは、「被害者や被害者の親の立場で考えると、『1カ月の出場停止処分』で、被害者は転校しているという状況では、学校や高野連に対する不満が溜まるのではないか」という指摘もありました。
【橋下徹さん】「専門家がいろいろ集まって決めて、処分の基準1カ月を単位にするってことも、ルールの中にきちんと書いてます。だから被害者の方は納得できないのであれば、学校にやっぱりどんどんしっかり言うべきだし、加害生徒もペナルティは加えられなきゃいけない。だけど、被害者と加害者間の話を、加害行為をしていない生徒まで広げるのは違うんですよ」
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2025年8月13日放送)