気象予報士の粟原さんの解説です。
ー先週の金沢に続き、今度は能登。どうして雨が続いたんでしょうか?
粟原:
9日の天気図です。猛暑をもたらした太平洋高気圧が南に退いたところに日本列島を横断するように前線がのびてきました。11日から12日にかけても県内の付近に同じ前線がかかり続けました。
ー場所を変えながら、前線がこうも長く、本州にかかり続けるって珍しいですね。
粟原:
本来なら前線は短期間で本州を通り抜けるんですが、日本海に発生したこの高気圧が曲者でした。高気圧と南の太平洋高気圧に挟まれて身動きが取れなくなったのが原因と考えられます。さらに、前線と並行して流れる偏西風と太平洋高気圧のふちを回る南寄りの暖かく湿った風、そして、12日は日本海の高気圧から流れる風も吹いたため、3つの風がちょうど県内付近でぶつかり合う状態が続きました。これにより、強い上昇気流が発生して、発達した雨雲を次々とつくったため雨が長引くことになりました。金沢で線状降水帯を発生させ、発達したまま能登に戻ってきて、12日被害を もたらしたということですね。
ーこのあとはどうなりそうですか?
粟原:
天気は回復に向かう見込みです。13日前線は残るんですが、南北の高気圧の勢力が強まることで前線は次第に解消される見込みとなっています。13日夕方までの24時間の降水量はいずれも多い所で、加賀、能登ともに30ミリと予想されています。ただ、これまでに降った雨により、地盤の緩んでいるところがあります。このため、気象台は、能登では13日明け方まで土砂災害に厳重に警戒するよう呼びかけています。