(早瀬純哉記者)
「こちら青島の避難階段に続く歩道なんですが、実は街灯がないんです。こうした中、夜に光る蓄光式の避難誘導標識が地面に設置されました」
この標識を設置したのは、宮崎市青島にある宿泊施設青島フィッシャーマンズ・ビーチサイドホステル&スパです。
去年8月の日向灘の地震で宮崎市では震度5弱を観測。
それ以降こちらの施設では、すべての客室に避難経路の案内板を設置するなど防災対策を進めて来ました。
しかし、5カ月後の今年1月13日…。
午後9時21分に起こった最大震度5弱の日向灘の地震。
外が暗い状況で避難する客は少なかったといいます。
(青島フィッシャーマンズ・ビーチサイドホステル&スパ 石井健一総支配人)
「宿泊の半分のお客様が避難されなかった。同時にスタッフも一人も避難しなかった。やはり、お客様をおいては逃げれないというところから議論をはじめた」
施設の利用者は年間およそ10万人。
そのほとんどが県外客で「夜間は暗くどこに逃げればいいかわからない」との意見が多く寄せられました。
こうして導入されたのが、夜に光る蓄光式の避難誘導標識。
道路を管理する宮崎市とも半年間の協議を重ね、避難階段までのおよそ500メートルにある駐車場や歩道の地面に11枚を設置しました。
標識を製造したのは東日本大震災の復興事業をきっかけに蓄光式の避難誘導標識の整備をはじめ全国で実績のある岩手県の会社です。
(東北NTS 佐々木政聡会長)
「行政が一般的には津波の誘導標識の設置をするが、実費で企業がこれを行うのはなかなかない事例」
毎年、東京から観光に訪れるという観光客は…。
(東京都からの観光客)
「ありがたい。やさしさを感じる。(宮崎県での津波を)自分事として受け止められていないので、こういうのがあると、私たちからしても嬉しいし、地元の方も安心」
また、ホテルでは8月中にも避難階段の柵にチューブライトを設置する予定です。
(青島フィッシャーマンズ・ビーチサイドホステル&スパ 石井健一総支配人)
「(南海トラフ地震が)いつかくるんだという危機意識を常に持っていなければいけない。これで全部とは思っていない。これから追加をしていきながら命を守る行動をとっていきたい」
民間企業がリードして地域の防災を支える共助の取り組み。
その先駆けとなりそうです。