入院患者を殺害した罪で12年間服役したものの、やり直しの裁判で無罪が確定した女性に対し、7日、滋賀警察が初めて、直接謝罪しました。
7日、滋賀県警のトップと対面した女性。冤罪で12年間服役していました。
【滋賀県警 池内久晃本部長】「21年余りの長きにわたり、言葉ではいい表せない程のご心労ご負担をおかけし、大変申し訳ございませんでした」
捜査を担当した滋賀県警が女性に直接謝罪をしたのは初めてです。
■逮捕の決め手になったのは西山さんの自白も…県警の捜査手法が問題に
滋賀県の湖東記念病院の看護助手だった西山美香さん(45)は、入院患者を殺害した疑いで2004年に逮捕され、実刑判決を受けましたが、その後、やり直しの裁判で無罪が確定しました。
逮捕の決め手になったのは西山さんの自白。
しかしその自白は当時、西山さんが捜査員に好意を抱き、話してしまったもので、滋賀県警の捜査手法が問題となりました。
その後、西山さんが国と滋賀県を訴えた民事裁判では、警察の「不当な誘導および働きかけがあった」などとして捜査の違法性が認定され、滋賀県が賠償を命じられていました。
■「捜査員は裁判でウソをついたと思っている」と西山さん
こうした中で、逮捕から21年経って、ようやく県警トップの謝罪が実現しました。
西山さんは“好意に気が付いていなかった”と裁判で述べた捜査員について、こう問いかけました。
【西山美香さん(45)】「好意があったのは真実じゃないですか。裁判で(捜査員は)ウソをついたと思っている、本部長はどう思っている?」
【滋賀県警池内久晃本部長】「指摘されたことは重く受け止めていて、真摯に反省を致しています」
■西山さんは謝罪を評価も「また冤罪を生み出すんじゃないか」
その後の会見で、西山さんは本部長の謝罪を一定評価しつつ、冤罪を本当になくせるのか、不安もあると話しました。
【西山美香さん(45)】「これで滋賀県警が変わってくれたらいいんですけど、また冤罪を生み出すんじゃないかというのは思っています」
西山さんは、民事裁判で国側の責任が認められなかったことを不服として、控訴しています。
■「自白に頼らない、客観的な証拠を中心に捜査をしてほしい」菊地弁護士
これまでに国賠訴訟に携わった経験を持つ菊地幸夫弁護士は、「自白に頼らない、客観的な証拠を中心に捜査をしてほしいと思います。そうでないと、またこういう事件が起きてしまう」と指摘しました。
(関西テレビ「newsランナー」 2025年8月7日放送)