日本とアメリカの関税合意の内容が双方で認識が異なる中、トランプ政権による日本への15%の相互関税が発動されました。
しかし日米の主張に食い違いが起こっており、この相互関税、税率を巡り混乱が起きているようです。
日本側は、関税15%未満だったものは15%に引き上げ、15%以上だったものはこれまでの関税がそのまま適用されて新たな関税がプラスされることはないと説明していました。
しかしアメリカ側は、これまで15%未満だったものはさらに15%がプラスされる、そして15%以上だったものもさらに15%がプラスされると主張していて、認識が食い違っているということです。
6日に公表されたアメリカの官報を見てみると、日本からの全ての輸入品に15%の相互関税を上乗せして課すと記載されています。
一方で、EUも同じく15%で合意しましたが、EUはこれまで15%未満だったものは15%上乗せなし、15%以上のものは据え置きにするということが記載されています。
青井実キャスター:
各国で明記が異なっているわけですが、柳澤さん、かなり大きな違いですよね。
SPキャスター・柳澤秀夫さん:
とんでもない違いです。企業にとってはとんでもないことだという話ですよね。
アメリカにグミやキャンディーなど多くの菓子を輸出している名古屋の「春日井製菓」を取材したところ、「現地の店頭価格が上がれば手が伸ばしにくくなり、日本からの輸出が減ることへの懸念がある」「アメリカは輸出額の半分を占めるため、他国でカバーするのは難しい」など不安の声が上がっていました。
なぜこんな食い違いが起きているのか?
事務方トップとして第1次トランプ政権と交渉に当たった関西学院大学の渋谷和久教授によると、赤沢経済再生相は商務省のラトニック長官を相手に交渉、合意をしたが、相互関税の担当は通商代表部(USTR)のグリア長官だということです。
事務レベルでもっとUSTRの方と詰めるべきだったと指摘されています。
そして合意文書を作成しなかったことについては、日本としては2019年の日米貿易協定が国際約束になっているので、今回、合意文書を作ってしまうと日米貿易協定が上書きされてしまうので作らなかったのではないかということでした。
一方で、フジテレビの智田裕一解説副委員長は、合意文書がないことで相互関税と従来の経済を巡る主張に隔たりがあるほか、自動車関税の引き下げ時期や、どういう全体像で日本からの投資が行われるかなど、あいまいさを残していることが火種を大きくしていると指摘します。
青井実キャスター:
あいまいさということですが、林官房長官は7日、日米間に齟齬(そご)がないことをアメリカ側に確認しているということですが、これをどうみますか。
SPキャスター・柳澤秀夫さん:
林官房長官はそう言っているかもしれませんが、相手のアメリカ政府は何でもありのトランプ政権だということを忘れちゃいけないです。そもそも交渉ごとで協定文書もあるいは覚書も残さないことはどうだったのか。今回の日米交渉は検証が必要になると思います。
青井実キャスター:
自動車関税の引き下げについても早急に対応していかないと。これまでの交渉の意味がなくなりますから、この辺りも注目です。