毎年8月5日・6日・7日の3日間に開催される「山形花笠まつり」が開幕した。2025年は、花笠音頭に合わせてあでやかな衣装に身を包んだ147団体・約1万400人の踊り手が参加し、夏の山形の夜を盛り上げる。

汗だくの子どもたちが花笠の練習に励む
花笠まつりを前に、第四学区花笠有志会(山形市)が花笠踊りを練習している場所を訪れた。
花笠パレードへの参加は2025年で10回目だそうで、山形市立第四小学校に通う児童と保護者の有志約150人が集まっていた。

踊っているのは「笠回し系」の花笠踊りで、踊りを美しく見せる“笠の振りかざし”や“止めるタイミング”を繰り返し確認した。
夜になっても日中の暑さが残る体育館で、子どもたちは汗をかきながら真剣に笠を回していた。

子どもたちに花笠について聞いてみると、「踊るのは3回目。本番はみんなで元気に踊る」「踊りを上達させた姿で、みんなを笑顔にしたい」「6年生なので最後、楽しく最高の花笠まつりにしたい」と、それぞれに話してくれた。
ベトナム産の花笠がまつりデビュー!
子どもたちが使っている花笠はほとんどが県内産だが、2025年は“海外で作られた笠”も用意された。
練習で使っている花笠を見せてもらうと、ちょっと色が違っている。
右が少し白っぽく、ベトナムで作られた笠。左が従来の県産の笠。

よく見ないと違いがわからないが、2025年はベトナム産の花笠が初めてデビューする。

これまではほとんどの花笠が県内で作られてきた。
しかし2024年、「作り手の高齢化」などの影響で、踊り手に必要な花笠が約1000枚も足りなくなる事態に直面した。

「今年は何としても花笠を確保したい!」ということで、市内で花笠の製造・販売を手がける民芸品店・尚美堂が、笠づくりを得意とするベトナムの村に初めて花笠の生産を依頼した。

そして完成した約1500枚のベトナム産の笠が到着し、無事パレードに参加するすべての踊り手たちに行き渡った。
ベトナム産花笠でベトナム出身の女性も笠回し
練習する踊り手たちの中に、華麗な笠回しを見せるベトナム出身の女性の姿があった。
母国で作られた笠で今回、花笠踊りに初挑戦する。
ファム・ティ・フェン・チャンさんは、母国で作られた花笠で山形文化を体験できることに対し、「日本のみなさんがベトナムで花笠を作ってくれて本当にうれしい。すごく感動」と話してくれた。

四小花笠運営委員・齊藤隼一さん:
今年、四小花笠は“美しく”を目標にやっている。
見に来てくれた人に「また来年も見たい」と言ってもらえるような踊りを目指すので応援お願いします。

生産を依頼した民芸品店も安ど
花笠不足から1年、ベトナムの笠で初めて迎えた花笠まつり。
ベトナムに花笠の生産を依頼した市内の民芸品店・尚美堂の逸見良昭社長に話を聞いた。

逸見さんは、「去年は1000枚が足りず参加者にご迷惑をかけた。今年はベトナムの笠を1500枚用意でき、全員に使ってもらえることになりうれしい」と話してくれた。
ベトナムに花笠づくりを依頼したことで、花笠まつりが世界に知られるきっかけにもなったのではないかという問いかけに対しては、「大阪・関西万博でも花笠を披露している。花笠が世界に広がっていけばいい」と話してくれた。

2025年で63回目を数える花笠まつり。
県産の花笠に加えベトナムの花笠も加わり、山形の夏の風物詩・花笠まつりが3日間熱く盛り上がる。
(さくらんぼテレビ)