7月30日に発表された津波情報。福島県内の沿岸部、約25万人に避難指示が出され、いわき市では約10万5000世帯が対象となった。課題となったのは、当日最大で300台にのぼった車による避難と警報発令中の途中帰宅だ。

■課題1 車での避難

いわき市久之浜町の高台にあり、自動車避難場所に指定されている「いわき海浜自然の家」では、これまでにない混雑があったという。
「津波の避難指示が発令されて1時間程度で避難者の方の車で満車となった」と話すのは「いわき海浜自然の家」の末永成清さん。

津波警報発表後、続々と避難する車が訪れ駐車場はすぐに満車に。急きょ施設の職員が近くの自動車避難場所へと誘導した。
末永さんは「誘導義務は協定上無いが、混乱を避けるためには必要な行動だった」と振り返る。

いわき市では、2017年に津波からの車避難についてガイドラインを策定。徒歩を原則としつつ、避難できる場所まで相当な距離がある場合や、徒歩での移動が難しい場合に、やむを得ないケースとして車の使用を想定している。

今回、道路で大きな渋滞はなかったが、避難場所への人員の補助や夜間発生時の対応に改善の余地があった。
福島県いわき海浜自然の家の末永さんは「施設の収容能力を超えて車が来た場合、今回は昼間だったので所員が対応できたが、夜間の場合には今回のような対応は難しいと感じている」と話す。
いわき海浜自然の家は、今回の状況を市に報告し検証を進めている。

■課題2 途中帰宅

そして津波避難のもう一つの課題が、警報発令中の帰宅について。
いわき市の避難者数の推移は、正午時点が1170人で、ピークとなった午後2時時点では最大1489人。しかし、津波警報がまだ続いている午後4時には512人と3分の1ほどに減っている。

避難所の一つとなったいわき市内の四倉高校には、一時246人が身を寄せた。夕方になると、避難した人たちの表情にも疲労の色が見え始めた。この時、避難した人からは「半分心配で、半分家に帰りたい」「疲れて、飽きた。不安と帰りたい、どっちもある、でも帰りたいが一番」との声が聞かれた。

一方、いわき市の危機管理課は、正しい行動として避難指示が出ている間はその指示に従い、津波の高さの情報などから自己判断で帰宅をしないよう呼びかけている。
いわき市危機管理課の猪狩雄二郎さんは「第1波が仮に大きくなくても、津波は繰り返し押し寄せてくるもの。津波警報の発令中は、安全な場所に避難を続けてください」と話す。

今回の津波で、注意報が解除されたのは翌日の午後4時半だった。予期した以上に避難が長期化するケースもある。避難する際の持ち物などを、今一度確認することが大切だ。

福島テレビ
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