海上保安官による感動の救出劇がSNSで話題になっています。
背景には世界的にも深刻な“幽霊漁具”の問題がありました。
◆「X」上の動画の音声
「でかいね。下にいっぱい沈んでいる」
海上保安官がボートで近づいていった先にいたのは、体長1mほどのウミガメです。
漁網のようなものが絡んで身動きが取れなくなっていました。
◆「X」上の動画の音声
「暴れるな、暴れるな。帰してやるから」
この映像が、北九州市門司区に本部を置く第七管区海上保安本部の公式Xに投稿されると、80万回以上再生され大きな反響を呼びました。
◆比田勝海上保安署巡視艇はやぐも 大谷友介 主任航海士
「痛いし、きっとお腹も空いているだろうから、早めに助けてあげたいなと」
海上保安官が声をかけながら慎重にナイフで網を切断すると…
◆「X」上の動画の音声
「よし、バイバイ行った!」
無事にウミガメは泳ぎ去っていきました。
◆比田勝海上保安署巡視艇はやぐも 大谷友介 主任航海士
「双方けがもなく、ハッピーエンドを迎えられたので非常によかった。今後救助したカメが、また次の世代をつないで行ってくれることでしょう」
今回、ウミガメを苦しめていたのが「ゴーストギア」です。
「ゴーストギア」は、海に流出して放置された漁網やロープ、ブイなどの漁具のことで、世界的にも深刻な海洋問題となっています。
環境保全団体が2025年に発表した報告書によると、ゴーストギアは海洋プラスチックごみの約1割を占めると推定され、生き物の体に絡まるだけでなく、誤って飲み込み命を落とすこともあるとされています。
◆比田勝海上保安署巡視艇はやぐも 大谷友介 主任航海士
「海洋生物に与える影響を考えて、ゴーストギアとならないよう、適切に管理することが重要。1人1人に環境問題を考えていただき、取り組んでもらえれば」
海上保安庁では、こうした環境問題への理解を深めてもらおうと、清掃活動や安全教室などを各地で実施しているということです。