夏休みに入り、楽しいイベントが目白押しだが、同時に子供の安全に注意を払う必要もある。特に川遊びは、水難事故の危険と隣り合わせだ。宮崎県内でも痛ましい事故が発生しており、改めて安全対策を見直す必要がある。水難救助のプロが教える、子供と川遊びに行く際に必ず持参すべき3つのアイテムと、大人の心得とは何か。

2024年の全国の水難事故死者・行方不明者は中学生以下で28人。そのうち18人が川遊び中で、半数以上を占める。6月には宮崎県延岡市でも川遊び中の高校生が死亡する事故が発生した。水難救助のスペシャリスト池辺美紀さんの安全教室を参考に、川遊びの注意点と対策を紹介する。
水難事故を防ぐ3つの必須アイテム

7月24日、三股町のしゃくなげの森で、日本で唯一の川の指導者育成機関「川に学ぶ体験活動協議会」指導者、池辺美紀さんによる水難救助の安全教室が開かれた。池辺さんは、川遊びでは水難事故を防ぐためのグッズを用意することが重要だと語る。
1. ライフジャケット

「ライフジャケットは必ずチャックを閉めます」と池辺さん。

ライフジャケットを正しく着用することで、万が一川に流された際に頭部が水面上に出て呼吸を確保できる。
2. かかとの付いたウォーターシューズ

「履物が流されて行って、それを取りに行って溺れるケースが毎年のように起こっているので、履物はかかとがついているものを使ってください」と池辺さんは注意を促す。

ビーチサンダルなど、かかとのついていない履物は脱げやすいので避けなければならない。

池辺さんは、脱げた履物がどれほどの速さで流されるかを実演してみせた。「この木を自分が履いている履物だと思ってください。さっき言った履物を取りに行って溺れるというのはこういったところで起こるので。いきますよ!」
あっという間に流されてしまった。もし、履物が脱げて流されてしまっても、絶対に拾いに行ってはならない。
3. レスキューロープ

「毎年起こっているんですけど、溺れた人を助けようとした大人が一緒に溺れてしまうんですね」と池辺さん。溺れている人を見かけても、絶対に川に入って助けようとしてはならない。

そのために必要なのがレスキューロープだ。水辺から投げて、要救助者につかんでもらい、手繰り寄せる。レスキューロープがない場合は、空にしたクーラーボックスなど、浮くものを投げて呼吸を確保できるようにするのが良い。
大人の心得:深さの確認と監視を徹底

子供を川遊びに連れて行く際は、大人が川の危険性を伝えることが不可欠だ。「子供たちが安全に活動できる川の深さは小学校3年生くらいまでだと“膝の深さ”と言われています」

「それより深くなると危険度が急に増すので、子供たちを川に連れていく時にはまず大人が先に入って深さの確認を子供たちに視覚的にさせることが大事です」と池辺さんは語る。

さらに、川遊び中の子供から決して目を離してはならない。「私たち大人は、子供が溺れた時に『助けてくれ〜』と言うと思っているが、水難事故の事例では“何も声がしなかった”という証言が多い。

水中で水を飲んでせき込んでも、そのまま沈んでしまう。“『助けてくれ』という声はしない”ということを知っておいてほしい」と池辺さんは訴えた。
(テレビ宮崎)