能登半島地震でストップしていた輪島と舳倉島を結ぶ定期船がおよそ1年7カ月ぶりに再開しました。定期船に乗って島に戻った女性を取材しました。

輪島港と舳倉島を結ぶ定期船「希海(のぞみ)」。港のしゅんせつと、仮の桟橋の設置が完了し、きょうおよそ1年7カ月ぶりに運航が再開されることになりました。運航再開といっても週に1回往復するだけの暫定的な再開です。乗船したのは、島の住民や作業員などおよそ30人。まだ観光客などは乗船できません。

この日を待ち望んでいた人がいます。大角しのぶさんです。

「民宿つかさ」大角しのぶさん:
「私らは(定期船の再開)早く再開しないかなって思ってた。私らよりお客さんの方が気にしていて、いつ再開するんですか?って電話来る」

舳倉島にある民宿「つかさ」。およそ50年、釣り人やバードウオッチングの愛好家たちを受け入れてきました。能登半島地震で舳倉島には津波が襲来。民宿つかさは幸い、津波の被害は免れました。
大角さんが、島に行くのはおよそ1カ月ぶり。これまでは知り合いの漁船に乗せてもらうなどして島に渡り片付けなどを続けてきました。30日は久しぶりに大きくて安定した定期船で島に向かいます。1時間半ほど乗船し、輪島港からおよそ50キロ北にある舳倉島に到着です。

へぐら航路・藤田健市専務:
「1年7カ月ぶりに島に降りれて感無量です。週一ですけど、復興作業の方に来てもらって島が甦るのを望んでいます」

到着後、藤田さんが向かったのは、民宿「つかさ」。大角さんが片付け作業に汗を流していました。定期船が再開しても生活への不安は拭えません。

大角さん:
「お医者さんが一番心配やね。医者がおらんとね。日帰りでもいい」

藤田さん:
「順番になおしていかな」

島にある唯一の診療所。建物に大きな被害はなかったものの、設備の一部が壊れてしまいました。運営する市立輪島病院によりますと診療所再開のめどは立っていないものの定期船の再開を受け設備の修理を進め再開を目指す方針です。
日常を取り戻すための大きな一歩となった定期船の再開。大角さんは、来年の春には民宿を再開させたいと願っています。

大角さん:
「できたらねぇ、来年くらいできんかなぁ。本当は秋と思ったけど秋は難しそうや。来年、春出来れば。診療所が再開しないと、客を受け入れるのは難しい。賑やかな島に戻ってほしいけど津波で家をなくした人も多くいるので複雑ですね」

石川テレビ
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