暑い日に飲みたくなるのが「ビール」ですが、このところ人気が増しているのがクラフトビールです。今回はその魅力を探ります。
仕事が終わっていただく一杯。おいしいですよね。そのビールで、今、人気を集めているのがこちらです。
高橋咲良アナウンサー
「ビールコーナーですが、大手飲料メーカーから販売されている定番の商品の隣にはクラフトビールが、これだけたくさん並べられています。今、このクラフトビールが注目されているんです」
クラフトビールとは小さな規模で製造されるビールのこと。こちらの店舗では、客の要望や需要の拡大で、県内をはじめ全国、そして世界からおよそ40種類以上のクラフトビールを取り揃えています。その一つを飲んでみました。
高橋咲良アナウンサー
「おいしいですね。まろやかな苦味とフルーティーな香りが口いっぱいに広がります。普段のビールとまた違ったおいしさがありますよね」
クラフトビールは市場の1%程度の出荷量ですが、ビール市場全体は下降傾向の中、クラフトビールはその割合をキープ。選ぶ人の割合が増えているとも考えられます。
また、クラフトビールを製造する醸造所の数も毎年増え続けていて2017年と比較するとおよそ3倍に増えています。クラフトビールの事業者団体の方に話を聞きました。
高橋咲良アナウンサー
「森田さんが、一番お好きなクラフトビールは何ですか。
日本クラフトビール業界団体連絡協議会事務局長 森田正文さん
「晩酌でゆっくり飲むアメリカのIPA。アメリカスタイルのIPAが僕は好きです」
クラフトビールは90年代や2000年代のブームを経ていま、第3次ブームを迎えているといいます。
森田正文さん
「若い世代の方々や女性も好んで飲まれるケースが多いというふうに言われていますね。多様な味わいがあるというところが一つ大きく受け入れられているところかなと思います。甘いものからとても苦いもの、それからフルーティーなものからすっきりしたもの、そういった多様な味わいの中で、好みの味わいを見つけて楽しまれる方もいるし、新しい好みを探して楽しまれたりするみたいなところがあって、なので、人気の高まりを見て、もしくは自分がクラフトビールに出会って好きになって、自分もこの事業を始めたいというような起業家さんが増えているっていうのが一つあるかなと思います」
県内にも特色あるクラフトビールの醸造所があります。
太白区秋保にある「グレートデーンブリューイング」はアメリカから、醸造責任者自ら移住し、東北の食材を使ったビールを製造しています。
また、石巻では地元で親しまれていた映画館を再利用し、醸造所を作った企業も。原料にも石巻産のホップを使うなど、地域に密着したクラフトビール作りを行っています。
さらに、こんな醸造所も!
川崎町にある「フォレストブルーイング」はちょっと珍しい方法で製造しています。
フォレストブリューイング代表 鈴木和博さん
「薪を使っているんですよ」
高橋咲良アナウンサー
「薪ですか。この方法って珍しいんですか?」
フォレストブリューイング代表 鈴木和博さん
「珍しいと思いますね、聞いたことないですね。これが薪ボイラーなんですよ。薪をくべてお湯を作っているんです」
ビール作りに必要なお湯を手間のかかる薪で沸かしているんだそうです。どのように使われているか、見に行きました。
フォレストブリューイングヘッドブリュワー 北條仁さん
「お湯はこちらに入っております。これで温めたものをビールの仕込みに使っております」
薪で温めたお湯はビールのもととなる麦汁作りに使われ、発酵させたのち、おいしいビールに仕上がります。鈴木さんは同じ施設で販売用の薪製造会社を営んでいます。クラフトビール作りを始めたのはここで余った薪を有効活用しようと思ったのがきっかけでした。
フォレストブリューイング代表 鈴木和博さん
「こういった薪は結局端材の薪なんですよ。売り物にならないやつ」
高橋咲良アナウンサー
「どうしてですか?これ」
フォレストブリューイング代表 鈴木和博さん
「結局ね、寸法が一定じゃないんですよ。販売用の薪を作る中で、売り物にならない、たくさん出ちゃうんです。売り物にならないのを、クラフトビール醸造所で有効利用しようと」
高橋咲良アナウンサー
「確かにこれもったいないですよね、使わないのは」
捨てるだけだった薪の端材を熱源にしてクラフトビールを醸造する発想が生まれたのは鈴木さんが視察で訪れたヨーロッパで感じた現地の薪文化でした。
フォレストブリューイング代表 鈴木和博さん
「ヨーロッパは薪を当たり前に使っているんですよ。だから薪が使われるっていうことは、山に手が入って山もすごくきれいなんですね。川崎町は薪もいっぱいありますけど、水がおいしいんですよ。そういう意味で水のおいしさと薪・自然のエネルギー、そういったものを融合したシンボル的なビールを作りたいということで。やっているわけですね」