宮城県気仙沼市で7月26日、散歩中の男性2人がニホンカモシカに襲われ、太ももを角で刺される被害がありました。その現場の近くで、28日、仙台放送のカメラがニホンカモシカの姿を捉えました。
斜面にじっとたたずむ、1頭のニホンカモシカ。体長はおよそ1メートル。28日午前、気仙沼市内で撮影スタッフが遭遇しました。
道路脇の斜面をゆっくりと登ると。すぐそばには、もう1頭…。小さな体の“子供”とみられるカモシカの姿もありました。
場所は、気仙沼湾横断橋を渡ってすぐ、小々汐地区の県道沿い。交通量も多い市街地近くです。
そして、この撮影地点から1キロほどの漁港では、26日、2人の高齢男性がニホンカモシカに襲われる被害が発生しています。
警察によりますと、26日午後4時ごろ、気仙沼市三ノ浜の市道で、散歩中の74歳の男性が右太ももを角で刺されました。直後には、近くを歩いていた77歳の男性も同じように襲われ、いずれも太ももから出血するけがをし、病院で手当てを受けました。
28日に撮影されたカモシカの体長は、26日に目撃された個体と一致しています。
警察によりますと、周辺ではこれまでニホンカモシカの目撃情報はほとんど確認されていませんでした。
石巻専修大学の辻大和教授です。カモシカは普段おとなしい性格で、人を襲うことはほとんどないといいます。
石巻専修大学動物生態学研究室 辻大和教授
「いきなり出会ったときにパニックになって、突きかかってくるケースがほとんどです。カモシカは戦前の時代は絶滅が心配されていた動物。日本政府が大事に、特別天然記念物という形で保護している。そのおかげで個体数が徐々に回復して分布も少しずつ拡大している。昔は山の奥にしかいなかった動物なんですが、最近はけっこう人が住んでいる地域にも進出してきている。ばったり出会ってしまったらびっくりするとは思うんですけれど、そこからすぐに立ち去ることです。クマと違って背中を向けても襲ってくることはないので、見つけたらすぐに離れること。くれぐれも自分から近づかないこと」