繊維工業資材を手掛ける福井県内企業の取り組みが、宇宙航空研究開発機構=JAXAの基金事業に採択されました。これまで培ってきた炭素繊維の技術を生かし、ロケットに載せる、より軽量なタンクの開発に挑みます。
宇宙ビジネスに乗り出すのは坂井市の繊維工業資材メーカー「丸八」です。25日は、共同開発を進める東京大学と金沢工業大学の教授らとともに会見しました。
丸八・菅原寿秀社長は「創業88年、福井、北陸から新たな宇宙産業の始まりができれば嬉しい。地域の産業にも貢献できれば」と意欲を見せました。
丸八が目指すのは、国の基幹ロケットに搭載する燃料タンクの製造です。製品には過酷な環境でも超低温の液体燃料を漏らさない「耐久性」に加え「軽さ」が求められます。
ロケットの燃料タンクは、従来は金属製ですが、今回は軽さが特長の炭素繊維と強化プラスチックの素材を使います。丸八が得意とする炭素繊維の技術を駆使して、最終的には直径約5メートル、長さ8メートル近い大型タンクの製造を目指し、実現すれば世界初の製造技術となり、重さは半分ほどになるということです。
JAXAの「宇宙戦略基金」は、第一弾として全国で50件余りを採択。10年間で総額1兆円を補助します。「丸八」のプロジェクトは県内から唯一の採択で、補助金額は非公表となっています。
丸八はこれまでに水素自動車のステーション用タンクの製造も手掛けていて、今回の挑戦で福井の宇宙産業を盛り上げ、地域貢献にも取り組みたい考えです。
