福井女子中学生殺人事件をめぐるやり直し裁判で、名古屋高裁金沢支部が無罪とした判決について検察側が1日、上告権を放棄し、前川彰司さん(60)の無罪が確定しました。上告権放棄について名古屋高検は「判決内容を精査し、上級庁とも相談の上検討した結果、憲法違反や判例違反といった上告理由が見つからず上告の判断に至らなかった。裁判所の指摘を重く受け止め、真摯に反省し、教訓とすべきと考えている」等のコメントを出しました。
<名古屋高検コメント>
本件が再審開始となり、再審公判において無罪が確定したことは厳粛に受け止めている。
判決では捜査機関において、誘導等の不当な働きかけを行い、その結果、関係者の1人の嘘の供述に沿う他の関係者供述が形成された疑いがあるなどとして、関係者供述の信用性が否定された。証拠の信用性の評価に関する裁判所の指摘を重く受け止めている。
また、確定審における公判過程では、検察官において関係者供述の裏付けとして主張していたテレビ番組の放送日について、従前の主張と齟齬する事実関係を示す証拠を得ながら、その後も、従前の主張・立証を維持していたことが明らかになっている。信用性が争われていた関係者供述の裏付けに関する事項についてこのような訴訟活動が行われるべきでなく、裁判所から、当時の検察官の対応は不公正なものであったと評価されたのも当然である。検察官の対応を批判する裁判所の指摘を重く受け止めており、検察としても真摯に反省し、教訓とすべきであると考えている。
今後とも、捜査公判活動が適切に行われるよう、高等検察庁として自ら努めるとともに、管内地方検察庁に対しても指導を行う。併せて、最高検察庁において、他の高等検察庁にも同様の対応を求めることとしている。