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石川県が誇る独特の食文化「金沢カレー」。ドロッとした濃厚なルー、キャベツの千切りが添えられたステンレスの舟皿に、ソースのかかったカツが鎮座するそのスタイルは、一度見たら、そして一度食べたら忘れられないほどのインパクトを放ちます。中でも地元の人々にとってソウルフードとして長年愛され続けているのが、「カレーのチャンピオン」、通称「チャンカレ」です。


しかし、金沢カレーの根強い人気を支えるチャンピオンカレーは、単に伝統の味を守っているだけではありません。創業から60年以上の時を経てなお、「変わらないために変わる」という新しい姿勢を掲げ、未来への挑戦を続けています。この記事では、チャンピオンカレーが歩んできた歴史、唯一無二の味への深いこだわり、そして激変する時代の中で「チャンピオン」として何を目指していくのかについて、代表取締役社長の南恵太の言葉とともに紐解いていきます。

■時代を先取る“うま味”の探求。金沢カレーは合理的発想が生んだ新しいカレーだった

現在の「金沢カレー」と呼ばれる独自のスタイルは、どのようにして生まれたのでしょうか。そのルーツは、チャンピオンカレーの創業者である田中吉和氏が、1961年に金沢市で開業した洋食店「洋食タナカ」に遡ります。田中氏は元々、東京の洋食店などで修業を積んだ腕利きの料理人でした。

※写真手前左が田中吉和


「洋食タナカ」で人気のメニューだったのが、カレーと豚カツ定食。お客様が両方を注文する姿を見た田中氏は、合理的な発想から、「いっそ一緒の皿にまとめてしまおう」と思いつきます。これが、現在の金沢カレーの象徴ともいえる、ご飯の上にカツを乗せ、その上からカレーソースをかけ、さらにソースをかけ、キャベツの千切りを添えるという、独特の提供スタイルの始まりでした。このスタイルは、洋食店ならではのカツ定食というメニューがあったからこそ生まれた、チャンピオンカレーのスタイルなのです。




この独特のスタイルの根幹をなすのが、田中氏が徹底的に追求した「うま味」にあったと、南は語ります。


代表取締役社長 南恵太


「当時の西洋料理において、濃厚なソースを作るためには、牛骨などを長時間煮込む『フォン』の仕込みが不可欠でした。しかし、街場の洋食店で、毎日提供できる手頃な価格のカレーを作る上で、この手間のかかる工程は大きな課題となる。そこで田中は、当時、食品製造技術の進歩によって登場し始めたばかりの、アミノ酸系のうま味調味料に着目します。これは、フォンの代わりにこれらの調味料を全面的に使うという、当時の料理人としては非常に大胆な発想でした」


腕の良い料理人でありながら、同時に時代の変化に敏感で、どうすれば安く美味しい濃厚なカレーを提供できるかを追求する合理的精神の持ち主であった田中氏だからこそ、この革新的な手法を取り入れることができたといえます。こうして、長時間の煮込みが不要ながら、非常に濃厚でパンチのあるうま味を持つ、金沢カレー独自のソースが誕生しました。

■3日で決まった新しい屋号。ゲン担ぎから生まれたチャンピオン

「洋食タナカ」は、このカレーの人気を受けて「カレーライスのタナカ」としてカレー専門店となります。その後、共同経営による「ターバンカレー」を経て、1973年には田中氏が独立し、現在の本拠地である野々市町(現在の野々市市)に移転。「タナカのターバン」として再出発を図ります。1970年代は、日本全体でモータリゼーションが進み、郊外に外食チェーンが誕生し始めた「外食の夜明け」とも呼ばれる時代でした。田中氏が移転した野々市は、まさにそうした郊外のベッドタウンであり、この立地が功を奏します。移転後の店舗は金沢市内時代を上回るほどの盛況となりました。


「タナカのターバン」として野々市で成功を収めていたチャンピオンカレーですが、1996年に転機が訪れます。共同経営を解消したターバンカレー側が「ターバン」の店名を商標登録し、当時のチャンピオンカレーは商標に関する意識が薄く、対応を迫られました。


「新しい店名を決めなければならないタイムリミットは、わずか3日間でした。そこで、田中氏の娘のアイデアとゲン担ぎから、突然『カレーのチャンピオン』という新しい名前が誕生しました。『“ン”が付く名前は“運”が付く』というゲン担ぎから、『“ン”が二つも付くチャンピオンはもっと運が良い!』と考えたそうです」(南)


※旧本店の外観


田中氏が洋食タナカ時代に考案したカレーレシピは、当時の料理仲間にも伝えられ、その系譜は現在の他の金沢カレー店にも繋がっています。「カレーの市民アルバ」創業者の今度忠氏や、「キッチンユキ」創業者の宮島幸雄氏も、田中氏と関わりの深い人物です。このように、複数の老舗店が田中氏のレシピを源流としていることから、チャンピオンカレーは「元祖金沢カレー」と呼ばれています。

■60年変わらぬ一皿のために。味のブレを抑える日々の努力

創業から60年以上。チャンピオンカレーが多くのお客様に愛され続ける最大の理由は、その「変わらない味」にあります。ドロッとした濃厚なルー、口いっぱいに広がる深いうま味、そして後を引くスパイス感。その味を守り続けることは、想像以上に困難な道のりです。


カレーソースの味は、使用する原材料のわずかな違いや、仕込みの際の温度・時間といった、極めて繊細な要素によって大きく左右されます。例えば、カレーの味の要となる「うま味」の調味料も、過去にはメーカー側の都合で内容が変更され、味が大きく変わってしまう危機に直面したこともありました。


こうした変化に対応し、常に「これぞチャンピオンカレーの味」という基準を維持するために、チャンピオンカレーでは日々の細やかな企業努力を惜しみません。原材料の選定には徹底的にこだわり、必要であれば協力メーカーとタイアップして専用の調味料を開発することも。


そして何より重要な役割を果たしているのが、長年チャンピオンカレーの味に携わってきたベテランの従業員たちの存在です。彼らの舌に刻まれた経験と記憶は、まさに「生きているレシピ」と言えます。客観的な品質管理の数値データだけでは捉えきれない、微妙な風味のニュアンスを彼らが感じ取り、繊細な調整を施すことで、いついかなる時もブレのないチャンピオンカレーの味をお客様に届けることができているのです。

■「チャンピオン」に込めた新たな意味。社会に価値を届ける存在へ

一方で、近年、チャンピオンカレーは大きな変化の時を迎えています。外部からの出資を受け、企業としてのさらなる成長を目指す中で、新しい企業理念を掲げました。「変わらないために、変わる」――。この理念には、単に伝統に安住するのではなく、変化を恐れず、新しい挑戦を通じてブランドの価値を未来へと繋いでいくという強い意志が込められています。


「『チャンピオン』という名前にも、新しい意味が込められるようになりました。単に『カレー業界のチャンピオン』として一番を目指すだけでなく、飲食業の枠を超え、広く社会に価値を提供できる存在を目指したい。この『チャンピオン』という名を、社内外に対して目指すべき一つの旗印として掲げ、様々な活動を展開していきたいと考えています」(南)


そのために、現在、事業のコアとして開発が進められているのが「カレーの可能性」の追求です。「カレーという料理が持つポテンシャルに大きな可能性を感じている」と南は話します。


「カレーは、スパイスの風味と濃厚なうま味によって、どんな食材も美味しく包み込む力を持っています。この特性を活かし、食品ロス削減といった社会課題の解決に貢献できるかもしれません。それに伴い、連鎖的に解決できる社会課題も存在するはず。カレーという身近な存在を通じて、未来の社会に貢献していきたいと考えています」(南)


また、「チャンピオン」という名前にふさわしく、「勝負飯」「勝ちメシ」といった切り口で、チャンピオンカレーを打ち出していくと南は語ります。ボリューム満点で、一度食べれば活力が湧いてくるようなチャンピオンカレーは、まさに日々の仕事や勉強、スポーツなど、ここ一番の勝負に挑む人々を後押しする存在でありたいという思いの現れです。


■五感で感じてほしい、チャンピオンカレーの味と歴史

チャンピオンカレーの強みは、60年以上にわたり培ってきた「変わらない味」という確固たる土台を持ちながらも、その土台の上に新しい価値を創造するために「変化する」ことを恐れない点にあります。創業者の合理的な精神から生まれた革新的なレシピ、幾多の困難を乗り越えて受け継がれてきた味を守る職人たちの技と経験、そして未来を見据え「社会のチャンピオン」を目指すという高い志。この伝統を守る力と、未来へ挑む創造力。この二つが両立していることこそが、チャンピオンカレーの最大の強みであり、今後のさらなる成長の原動力となるはずです。


「チャンピオンカレー」は、北陸地方以外ではまだ広く知られていないかもしれませんが、レトルトカレーやチルドパックなどの商品を通じて、全国のお客様にもその味をお届けしています。また、今後は店舗展開も積極的に進めていく予定です。


ぜひ一度、チャンピオンカレーの濃厚なうま味と、金沢カレーの歴史、そして「変わらないために変わる」という未来への挑戦のストーリーを、五感で感じてみてください。





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