「せりふ」がないワードレス漫画で、海外作家を発掘するKADOKAWAの世界戦略に迫りました。

日本が世界に誇る文化の1つ、漫画。
アニメなどを含めたコンテンツ産業の輸出額は5.8兆円。

半導体産業などを超える経済効果を生み出していて、世界を見据えたグローバル戦略は必要不可欠です。

これらの作品も、世界にアプローチをする手段の1つですが、通常描かれている「せりふ」がありません。
絵だけで物語を展開し、言語の壁にとらわれないジャンルは「ワードレス漫画」と呼ばれています。

23日にKADOKAWAが初めて開催したのは、このワードレス漫画を集めたコンテストの表彰式。
104の国と地域から1000件以上の応募があり、オリジナル部門の金賞には、少年が困難な状況の中で成長していく様子を描いたカナダのcocosmさんの作品「My Hope In Bloom」が選ばれました。

コンテストに参加した海外作家は、「私のような日本の漫画業界に長い間憧れながらも、自分には関われない世界だと思っていた。アーティストにとって本当に大きな意味を持っている」「誰かに称賛されることがうれしい。業界の人に称賛されて自信が増した」と話しました。

KADOKAWA・泉水敬執行役:
(日本の)作家が非常に忙しく、数も限られてきている。各国にいるクリエイターの卵を発掘して、その方々の力を開花できるのではないかと思う。

受賞者は、連載に向け編集者がサポート。
KADOKAWAではIP(知的財産)を生み出すことに力を入れていて、7000点のIP創出を目指し、海外企業のグループ化も積極的に進めています。

2015年に子会社化したマレーシアの出版社では、マレーシア最大規模だというIP部門を設立。
テーマ決めやキャラクター設計、カラー入れなど、自社が抱えるクリエイターが手がけています。

動物や昆虫など、最強同士を戦わせる学習漫画「どっちが強い!?」は、マレーシアで刊行後、日本にも逆輸入。
小学生を中心に人気に火がつき、関連シリーズは日本国内で500万部を突破しました。

さらにこちらの会社では、言語ごとの翻訳部門の設立に、NFT(非代替性トークン)や電子メディアの展開、海外プロモーションなどにも力を入れることで、IPの露出機会を増やし、作品の可能性を広げています。

KADOKAWA・泉水敬執行役:
“日本から世界へ”のみならず、世界で発信・創出したコンテンツを日本も含めた世界市場に展開していく。どんどん幅を広げていくことで我々のビジネス全体の拡大にもつながると考えている。

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「経済部」は、「日本や世界の経済」を、多角的にウォッチする部。「生活者の目線」を忘れずに、政府の経済政策や企業の活動、株価や為替の動きなどを継続的に定点観測し、時に深堀りすることで、日本社会の「今」を「経済の視点」から浮き彫りにしていく役割を担っている。
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