参院選・新潟選挙区は立憲民主党の現職が自民党の新人に競り勝って再選を果たすという形で幕を閉じました。一方、当初は、自民・立憲の一騎打ちの構図になると見られていましたが、ここに割って入ったのが参政党の新人です。新潟選挙区でも台風の目となった参政党がどのように支持を広げ選挙結果にどのような影響をもたらしたのか取材しました。
■自民・立憲の戦いに割って入った“参政党”
7月20日、自民党の新人との競り合いを約1万票差で制し、再選を決めた立憲民主党の現職・打越さく良さん。
【立憲 打越さく良 氏】
「物価高の中で苦しい県民の暮らしの声に耳を傾けない。そんな自民党政治を終わらせたい。その県民の怒りの勝利でございます」
当初、新潟選挙区では自民・立憲の候補による一騎打ちの戦いになると見られていましたが、そこに割って入ったのが5年前に結党されたばかりの参政党です。
【参政党 神谷宗幣 代表】
「やりたいこと、やるべきことをちゃんと国民の声を合わせてやる。それが参政党。そのためには、新潟県、平井恵里子さんに一票を投じていただきたい」
参院選の前哨戦とも言われた東京都議選で躍進。3議席を獲得して注目度が増す中、新潟選挙区では会社員の平井恵里子さんを擁立しました。
【参政 平井恵里子 氏】
「参政党の新しいポスターにも日本人ファーストと書いてある。ここは日本ですから、日本人を大切にするのは当たり前」
“日本人ファースト”という保守色の強いキャッチフレーズのもと、消費税の段階的廃止や15歳までの子ども一人につき毎月10万円を給付する子育て支援策など、分かりやすい公約を掲げると新潟でも支持者が増加。
【支援者】
「立候補してくれてありがとう。すごく応援している。参政党に寄付もしたし、絶対投票する。周りにも広める」
【支援者】
「日本を守りたいということをしっかりと訴えているし、参政党の政策は信用できる」
さらに、ほかの党に比べ組織力に劣る参政党は若い世代を中心に支持拡大を図ろうと、SNSを積極的に活用。
【支援者】
「1時間くらい前に党首のYouTubeを見て、それであまりに感動して。それで調べたら平井候補がここに来るというので」
投開票前日の夕方に新潟駅前で行われた最後の街頭演説には多くの聴衆が集まります。
【参政 平井恵里子 氏】
「政治家のための政治が行われている。国民のほうを向いてもない。この怒っているということをアピールするにはこの選挙しかない」
■参政・平井氏 40代以下の各年代でトップの支持集める
そして、迎えた7月20日。
【参政 平井恵里子 氏】
「本当に厳しい、楽しい選挙戦でした。ありがとうございました」
当選とはなりませんでしたが、3年前の参院選では3%だった得票率が約20%にまでに上昇。
【参政 平井恵里子 氏】
「最初のほうは走りゆく車に向かって街頭演説をしていた。私の話を立ち止まって聞いてくださるなんてことは選挙戦が始まったころは想像もしていなかった」
FNNの実施した出口調査では、無党派層の2割の支持を獲得したほか、40代以下の各年代で平井さんがそれぞれトップの支持を集めています。
また、投票率は党が目標にしていた80%には達しませんでしたが、県内では前回3年前を6.35ポイント上回り、61.67%を記録しました。
■「有権者にも分かりやすい論戦を」自民・立憲は動向注視
この影響を受けたのが自民・立憲の候補です。
【自民 中村真衣 氏】
「このような結果になってしまい、本当に申し訳ございません」
議席奪還という目標を達成できなかった自民党はその敗因の一つに参政党の存在を挙げます。
【自民 小野峯生 県議】
「伸びるのではということは言われていたが、これほどまでに…。自民党系票を奪っていることだけは確か」
【自民 国定勇人 衆院議員】
「やはり、私たちに対する失望感が参政党のほうに流れたというのは否めない事実」
一方、自民党に逆風が吹いていたにも関わらず接戦に持ち込まれた立憲民主党も参政党の急速な支持の広がりが影響したと見ていて、その選挙戦略に注目しています。
【立憲 西村智奈美 衆院議員】
「有権者の皆さんに分かりやすい話をされているんだろうなというふうに思っている。より一層、訴求力を持って、なおかつ有権者の皆さんにも分かりやすい論戦で支持をいただけるようにしていかなければいけない」
【立憲 米山隆一 衆院議員】
「参政党さんの立証していることは、全く無名の候補が党勢とSNSに乗ってあれだけの票を取れるというところ。今後より一層、そういったことにも留意しながら戦略を立てて実行していく必要がある」
今回の選挙戦で台風の目となり大きく議席を伸ばした参政党。
過激な言動がたびたび注目される政党は国政で一体どのような存在感を放つのでしょうか。