フェイクニュースにNO!
この記事の画像(7枚)トランプ大統領を攻撃するフェイクニュース(偽ニュース)に、とうとう特別検察官がNOを出した。
「マイケル・コーエンの議会証言に関して、特別検察官事務所への特定の発言、入手した証言や資料について伝えたバズフィードの記述は正しくない」
トランプ大統領の「ロシア疑惑」を捜査しているムラー特別警察官の事務所が18日(現地時間)このような声明を発表した。
同特別検察官が捜査に関して公式に発言することはほとんどなく、このような声明を発表したのは捜査開始以来1年8ヶ月で初めて。逆に言えば、バズフィードの虚偽の報道は目に余るものがあり、放置すると悪影響が広がる恐れがあると考えたからだろう。バズフィードは米国のネットニュースでも有力な存在だが、トランプ大統領の過去の不品行を暴いたという怪しげな「ロシア文書」を最初に公表したように、反トランプの立場を貫いてきている。
米国マスコミに溢れた「弾劾」の言葉
問題のバズフィードの報道というのは、匿名の捜査関係者二人の話としてトランプ大統領が元顧問弁護士のマイケル・コーエン氏に議会での証言で偽証するよう指示したと17日伝えたもので、他のマスコミもこの報道を引用して大騒ぎとなった。
もしこれが事実だとすると、大統領はコーエン氏の偽証罪の共犯になり捜査妨害罪にも問われる可能性があるので議会民主党が調査に乗り出すと発表した。
反トランプ派のマスコミも大統領攻撃のかっこうの材料として大々的に扱い、MSNBC放送のキャスターのケイティー・ターさんはこう言ってこのニュースを伝えた。
「ドナルド・トランプは大統領になって最も打撃的な報道に直面しています。このニュースは彼の弾劾につながる可能性があります」
この報道を巡って米国のメディアには「弾劾」という言葉が溢れた。保守派のニュースサイト「デイリー・コーラー」が数えたところ、18日だけでMSNBC放送で97回、CNNで82回この言葉をキャスターや記者たちが口にしたという。
「トランプの収監を夢見ているのか?」
「ハハハハハハハハハハ・・・!」
その報道が「正しくない」と特別検察官が指摘すると、大統領の長男のトランプ・ジュニア氏はメディアを嘲笑するツィッターを流した。度重なるフェイクニュースの攻撃に溜まりにたまった憂さを晴らしたようだ。
元ハーバード大学教授のアラン・ダーショウィッツ氏は保守派のフォックス・ニュースのサイトに次のように寄稿した。
「反トランプ派の識者たちはあまりにも過ちをくりかえすので、彼らの言うことを信ずると言い続けるのはトランプが追放され、さらに刑務所に収監されることを夢見るものだけになってしまった」
このバズフィードの報道は日本のマスコミの多くがそのまま引用して伝えた。日本のマスコミがみな「トランプ大統領が刑務所に収監されることを夢見ている」とは思わないが、米国のフェイクニュースを鵜呑みにして伝えることで日本人のトランプ観を歪めているのではなかろうか。
このコラムはタイトルが示すようにフェイクニュース(偽ニュース)退治を目指しているのだが、書いても書いてもそのタネが尽きないのは本当に困ったものだ。
【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】
【イラスト:さいとうひさし】
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