当時7歳の娘の人工呼吸器を外して殺害したとして罪に問われた母親の裁判です。

福岡地裁は母親に対し、執行猶予付きの判決を言い渡しました。

判決を受けたのは福岡市博多区の無職、福崎純子被告(45)です。

判決によりますと福崎被告は今年1月、自宅マンションで娘の心菜ちゃんが付けていた人工呼吸器を外し、窒息死させました。

心菜ちゃんは生まれた時から国指定の難病「脊髄性筋萎縮症」を患い、人工呼吸器を付けて生活していました。

福崎被告は数時間に1回心菜ちゃんの体の向きや姿勢を変えたり、痰を吸引したりするなど昼夜問わず介護にあたっていました。

裁判で福崎被告は事件の2日前、夫から心菜ちゃんの介護の手伝いを初めて断られたことや、親族からこれまで言われた「心無い言葉」を思い出し、犯行に至ったと話しました。

◆福崎被告
「実の父が心菜がおおきくなってきて盆や正月に会いに行かせた時に『大きくなったね『と声をかけて欲しかったが、ため息をついて『これからどうするね』と言われて、『このまま心菜は生きたらだめなのか』心臓がえぐられた感じになった。長年続いていたが、それがこみ上げてきました。心菜はいない方がいいんだったら、私も生きる意味がないとなって一緒に死のうと」

福崎被告は亡くなった心菜ちゃんを腕に抱いたまま自殺を図ろうとしましたが、家族が異変に気づき病院に救急搬送されました。

◆論告求刑(15日)
公判で検察は「介護に協力的な夫の一時的な言動に引きずられ、衝動的に決意した短絡的な犯行」だとして懲役5年を求刑。

一方、弁護側は「心菜ちゃんを8年近く必死に守り続けてきた被告の努力を思うと、実刑を科すのはあまりに酷」だとして、執行猶予付きの判決を求めていました。

18日の判決で福岡地裁の井野憲司裁判長は「確実な心中を遂げる準備をしていて、生命を奪うという殺意はゆるぎない」「夫の言動から疎外感や孤立感を感じ躊躇なく心中に巻き込んだ」と指摘しました。

一方で「張り詰めた緊張感の中で介護を何年も続ける肉体的、精神的な疲労の蓄積自体は察するに余りある」「夫が寛大な判決をのぞんでいることなども踏まえ、社会内で贖罪の日々を送らせることが相当である」などと述べ、福崎被告に懲役3年執行猶予5年、保護観察付きの判決を言い渡しました。

福崎被告側は控訴しない方針です。

テレビ西日本
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