7月3日公示の参院選は投票日までいよいよあと3日となりました。
改選1の鹿児島選挙区には立憲民主党の推薦を受ける無所属の新人、尾辻朋実さん、参政党の新人、牧野俊一さん、自民党の元職、園田修光さん、NHK党の新人、山本貴平さんの元職と新人あわせて4人が立候補しています。
選挙戦が熱を帯びる中、今回の参院選の特徴や鹿児島での注目ポイントなど専門家に聞きました。
鹿児島大学(政治学)・藤村一郎准教授
「これまでの保守王国に地殻変動が起きている。そういった意味では盛り上がっている」
こう話すのは政治学が専門の鹿児島大学、藤村一郎准教授です。
藤村准教授が話す「保守王国での地殻変動」
2001年、鹿児島の改選議席が2から1に減って初めての参院選。
自民党の公認候補が野党候補に2倍以上の差をつけて勝利しました。
当時の民主党が政権交代を果たし、自民党が下野して行われた2010年の参院選でも自民党候補が勝利するなど、参院選鹿児島選挙区では自民党候補が議席を獲得し続けています。
ところが今回はKTSの情勢調査では立憲民主党の推薦を受ける尾辻さんがリード。
参政党の牧野さんと自民党の園田さんがそれを追いかける展開となっています。
藤村准教授は「鹿児島での保守的な人気は依然としてある」としながら、今回は保守票が割れる状況が作り出されていると分析します。
鹿児島大学・藤村一郎准教授
「尾辻さんはそもそも自民党から手を挙げたが、野党から推薦受けて出ている。それから参政党が保守系の票のより右側の票の受け皿となっている可能性がある。自民党のあるべき票のはしっこを両方とも他の候補にとられている状況で、保守層の票を広く集めてきた自民党からすると厳しい状況なのでは」
自民党は2024年の衆院選でも、鹿児島の4つの小選挙区で1勝3敗と逆風が吹いています。
自民党が支持を取り戻すために何が必要なのか。
藤村准教授は次のように指摘します。
藤村准教授
「(アベノミクスなど)2012年から始まった自公政権、安倍政権で始めたことが問題になっているので、これの一つの締めくくりの段階に見えている。国際情勢や経済・財政にもう一度向き合って立て直しをする以外ない」
一方、6月の東京都議選で初めて議席を獲得するなど躍進傾向にあるのが参政党です。
なぜ今、支持が拡大しているのでしょうか。
藤村准教授
「マクロな目線で見るとグローバル化が急激に進んだ結果の反動。ナショナリズム(国家主義)を声高に叫ぶというのがヨーロッパでもアメリカでも同じ現象であって、日本でも同じような現象が起きるようになっている」
2024年の衆院選で過半数割れに追い込まれた自公政権。
今回の参院選でも過半数割れの可能性がささやかれる中、藤村准教授は、今後の政権の枠組みにも影響を与えかねないと今回の選挙の重要性を指摘します。
藤村准教授
「参議院でも与党が過半数割れすることになると、政権運営が難しくなる。(自公が)大きく負けると立憲民主党中心の政権も浮上してくると思うが、そこまでいかずに負けたは負けたという状態になった場合は、連立政権の枠組みを考え直すことが一番合理的(な手段)にはなるだろう。今回の参院選は去年の衆院選とセットで考えると重要な局面に立っている」
ところで参院選の県内での投票率を見てみると、1980年には80%弱あったものが、減少傾向が続き、前回と前々回はいずれも50%を下回っています。
今回は3連休中日の20日が投票日となるため、さらなる投票率の低下が懸念される中、藤村准教授は参院選での投票の意義を訴えます。
藤村准教授
「参議院は予算の審査を見ていても非常に激しく細かくやるところだし、任期という意味で言えば6年間務めるから相当長い間任せないといけない。今回はじっくり考えて投票に行ってほしい」