現職と新人の合わせて4人が立候補している参院選・新潟選挙区。家計をひっ迫する物価高問題への対応として注目されているのが現金給付と減税だ。物価高に苦しむ現場と各候補者の考えを聞いた。
物価高に苦しむ学生を支援 学生自ら“フードバンク”立ち上げ
「認知度がない限り救えるものも救えないし、とりあえず学生の認知向上みたいなものを第1回、第2回はメインでやって…」

7月中旬、新潟大学の五十嵐キャンパスで学生が運営するフードバンクのミーティングが行われていた。
物価高で困窮する学生の食料支援などを行うこの団体。6月には地域のフードバンクなどの協力を得て備蓄米5kgを無償で配布した。
共同代表の大岩柚実さんは「感謝の声や今後への期待の声をいただいたので、こちらとしてもうれしかった」と振り返る。

この日は、翌週予定している2回目の食料品の配布に向けた話し合いが行われていた。
話し合いの中では「1人あたりの配布量より人数を増やすというのがベストかな。量を減らしても受け取れる人数を増やす」という意見も。
この団体が新潟大学の学生を対象に実施したアンケートでは、6割の学生が普段の食生活に不安や悩みを抱えていると回答している。
実際、大学生に話を聞くと「1人暮らしをしている。コメが今まで買っていた値段から2倍くらいになっていると、ちょっと自分のバイト代では厳しいなっていう瞬間はある」「スマホアプリで自分の稼いだお金と普段使っているお金を管理しているが、今のところ支出が結構多くて、食費が大変」などの意見が聞かれた。
どうすれば必要な人に必要な支援を届けることができるのか、学生フードバンクは検討を重ねている。
大岩さんも「本当に困っている学生に対してちゃんと支援が届くような方向を考えていきたいと思っている」と話す。
民間の信用調査会社・帝国データバンクの調査では、7月の飲食料品の値上げ品目は2024年の5倍となる2105品目に達し、年間の値上げ品目も2年ぶりに2万を超える見通しとなっている。
『現金給付』か『減税』か…各候補が訴える“物価高対策”とは?
こうした状況の中、迎えた参院選。物価高に苦しむ国民をいかに支援するかが大きな争点に。
中でも意見が分かれるのが、対策として挙げられている現金給付と減税だ。
大学生からは「給付の方がいいと思っている。減税すると財源がなくなってしまう感じがある」「消費税は物価が高い上に追加され、色々ダメージになってくるので、消費税とかは減らしてほしい」と様々な声が聞かれた。
新潟選挙区の候補者の中で唯一、給付を訴えるのは自民党の新人・中村真衣氏だ。

消費税は社会保障の財源であることなどから減税には消極的で、国民1人あたり2万円の給付が速攻性のある対策だと訴える。
「減税したほうが国民の方は数字に表れやすいからうれしいとは思うが、今すぐ直接的に皆さんのところに入るということは、少しでも物価高対策にはなるのかなと思っている」
一方、立憲民主党の打越さく良氏が訴えるのは、時限的な減税だ。

来年4月から期間を限定して食料品の消費税をゼロに、その後、給付付き税額控除に移行する考えだ。さらに暫定税率の廃止によりガソリンの価格を抑えると訴える。
「1回限りの給付という行き当たりばったりの政策ではなくて、エンゲル係数も高くなっていて非常に厳しい家計のことを考えた上で、そして財源も考えた上での政策なので、国民の暮らしを支えるという姿勢については全然違うものだと思っている」
参政党の新人・平井恵里子氏は、消費税の段階的廃止を主張。

社会保険料の負担も軽減することで税金と社会保険料が所得に占める割合・国民負担率を現在の46%から上限35%まで抑えると訴えている。
「税金と社会保険料、これが減れば私たちの手取りが増えると思うが、税金と社会保険料が増え続けている状況なので、これを変えなければ私たちは生活は苦しいままだと思う」
諸派の新人・原田公成氏が所属するNHK党は、税金や社会保険料の引き下げを政府に求めることを公約に掲げている。

私たちの生活に直結する物価高対策。果たして有権者の支持を集めるのは?
(NST新潟総合テレビ)