東京進出が相次ぐ、福岡のうどん店。

あの有名チェーンの気になる動向は?

柔らかい麺が特徴の福岡のうどん。

このところ全国で「快進撃」を続けています。

◆記者リポート(今年2月、東京)
「きょうグランドオープンした資さんうどんなんですが、この味を求めて行列ができています」

去年末に千葉に出店したのを皮切りに埼玉、東京と店舗を拡大し勢いに乗る北九州発祥の「資さんうどん」。

カラッと揚がったごぼう天と甘辛い肉が乗った「肉ごぼ天うどん」を筆頭に、もちもちの麺と鯖や昆布などから丁寧に取っただしが人気となり現在、全国で80店舗以上を展開しています。

そして…

◆記者リポート(今年4月、東京)
「あちらですかね!すごいおしゃれ!きらびやかで近代的と言いますか『ザ・東京』という感じのビルですね」

創業74年の老舗うどん店「因幡うどん」も今年、初めて福岡県外に進出!

その場所は東京の最先端が集まる「原宿」でした。

かき揚げスタイルのごぼう天が名物の因幡うどん。

東京都民の反応は?

Q.関東ではあまりない?
◆都内から
「初めて食べました」

Q.柔らかい麺はあり?
「ありですね。鍋の後のシメのうどんみたいな感じで、スルスルと食べられる。東京のうどん界に一石を投じる“新しい風”が吹いたのではないか」

さらに福岡で定番の「ウエスト」は東京・町田市や千葉県内に店舗を構えているほか、同じく福岡の「うちだ屋」は堀江貴文氏が顧問を務める飲食関連企業の子会社となり、全国展開を目指す方針です。

こうした「福岡うどんブーム」が巻き起こりつつある現状に福岡県民は…

◆福岡県民
「嬉しい。福岡のうどんが全国に知られていくのは」

「柔らかいうどんが認められてるというのがすごい良いと思う」

そうした中、聞こえてきたのが…

◆福岡県民
「牧のうどんも出店して欲しい。やっぱり唯一無二」

「牧のも好きなので、ぜひ食べていただきたい」

資さんうどんウエストと並び、福岡の3大うどんと称されることもある「牧のうどん」の動向を気にする声です。

通称「マッキー」や「まきの」などと県民に親しまれている牧のうどん。

麺がどんどんスープを吸うため、ヤカンに入ったスープを継ぎ足しながら食べるのが「牧の」流です。

先日、糸島市の本店を訪ねると…

平日にもかかわらず大混雑です。

◆訪れた客
「だしは牧のうどんが一番おいしい」

「食べても減らなくておいしい」

「めっちゃ吸うので」

地元で高い人気が続く牧のうどんですが「福岡3大うどん」の中では唯一、関東進出などの目立った動きが見えない牧のうどん。

取材班は社長を直撃しました。

Q.今後、東京進出は?
◆釜揚げ牧のうどん 畑中俊弘 社長
「ないですね。誘いはありますけど断っています」

「資さん」や「因幡」など福岡のうどんチェーンが関東で受け入れられる中、「牧の」にも”誘い”はあるものの東京進出は「無い」と断言しました。

その背景には「牧の」の「鉄の掟」がありました。

◆釜揚げ牧のうどん 畑中俊弘 社長
「だし・ごぼう天・えびは本店のセンターで作る。本店から1時間30分でだしを運べるところでしか出店していない」

1973年の創業当時から守られてきたのが「だし」の劣化を防げる範囲での出店。

現在は福岡と佐賀を中心に18店舗を構えていますが、全て、だしを製造する本店から1時間半以内の距離にあります。

早朝から6時間かけて仕込むこだわりのだし。

高級な利尻昆布を1カ月に約2トンも使用しています。

その量はだし用利尻昆布の国内全体の消費量のうち「7%」を占めるほどです。

◆釜揚げ牧のうどん 畑中俊弘 社長
「だし昆布の使用料はおそらく日本一だと聞いている。うちはみりん・砂糖を使っていないので、昆布に由来するうまみだと思う」

そして、他の地域に出店しない理由は他にも…

◆釜揚げ牧のうどん 畑中俊弘 社長
「売上に締める材料費は4割を超えている。よっぽどの高級店だと別だが、ラーメン・うどんの形態でそこまでの原価率の店舗はない。物価高でも安く、おなかいっぱいに!」

昆布など仕入れの値段が上がる中、一般的なうどん店の3倍ほどの客を受け入れることでなんとか低価格を実現しているといいます。

◆釜揚げ牧のうどん 畑中俊弘 社長
「一部赤字店舗もある。でもトータルで儲かっているからいいということで今の値段。これがフランチャイズで、1店舗1店舗独立で生産性出すとなると今の値段ではやっていけない」

東京進出といった拡大戦略ではなく今後も地域に根ざした経営を…

そこには「だし」や「価格」を巡る「牧の」の徹底したお客様ファーストの姿勢がありました。

テレビ西日本
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