プレスリリース配信元:J.D. パワー
ロイヤルティも横ばいに推移
CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、CEO:木本卓、略称:J.D. パワー)は、2025年個人資産運用顧客満足度調査の結果を発表した。
市場変動が激しい期間においても総合満足度は最高水準を維持、ロイヤルティも横ばいに推移
本調査は、直近1年以内の主利用金融機関における個人資産運用に関する経験を満足度として測定する目的で実施をしており、この1年間を振り返ると、2024年8月の株価急落や米国の通商政策への警戒感により、株価や為替の変動が比較的大きな年であったと言える。本調査においても、投資信託や株式(国内株、外国株)で運用額が減少したと回答した人はどちらも約20%で、前年に比べ+10pt以上増加しており、これは市場の不安定さが個人の資産形成に直接的な影響を与えたことを示している。
しかしながらこうした厳しい市場環境にもかかわらず、総合満足度を見ると、対面証券、全国系銀行、ネット銀行では+1ptと横ばい、ネット証券では+14ptと大きく上昇する結果が見られた。加えてロイヤルティを示す指標である継続意向や推奨意向も、全部門で横ばい圏内にとどまる結果となり、大きな低下は見られなかった。
これらのことは、顧客の評価軸が市場の変動における短期的な運用成果のパフォーマンスだけで判断されるものではなく、安定した信頼出来るサービスを提供する金融機関との長期的な関係性や信頼性を維持する傾向が強いことを示唆していると考えられる。
ネット証券での満足度向上、低コストとサービス品質の向上が背景に
ネット証券の満足度をファクター別に見ると、「手数料・金利」で+20pt以上、「商品・サービス」、「口座情報」、「顧客対応(オンライン・コールセンター)」で+10pt以上の向上となった。多くのネット証券が手数料無料化やポイント還元などを推進し、低コストで魅力的な商品・サービスを提供する戦略が評価されたことが背景にあると考えられる。特に市場が不安定な時期においては、運用コストの低さは顧客の収益に直結することからも、その重要性は今まで以上に認識されるきっかけとなったと考えられる。
ファクターの内訳をさらに詳しく見ると、口座情報では「口座で提供されている情報」を筆頭に、オンライン(顧客対応)では「見たい情報の探しやすさ」や「掲載内容のわかりやすさ」などの項目で向上が見られた。また、コールセンター(顧客対応)では、昨年は新NISAスタートによる問い合わせ数の増加により「電話の繋がりやすさ」の評価が低下したが、本年調査では大幅に改善した。これらの実績がネット証券の総合満足度向上に寄与している。
市場の変動が激しい時期において、特にネット証券が示した満足度の向上は、デジタル化されたサービス提供の高度化と、顧客のニーズに合致した価値提供の重要性を改めて浮き彫りにしていると言える。
株価急落時の金融機関のフォローの重要性、「役に立つ」情報提供が満足度向上の鍵
2024年8月に起きた東京株式市場の株価大幅下落の際、金融機関からの市場状況や今後の見通しについての連絡や案内の有無を「営業担当者からの連絡(訪問、電話)」、「コールセンターからの電話」、「Eメール」、「その他インターネット経由の通知」の4チャネルで確認したところ、連絡があった場合となかった場合では満足度に大きな差異があることが確認された。これは市場の混乱期における金融機関からの顧客への寄り添い、情報提供を行うことの重要性を示していると言える。
提供される情報そのものの質についても注意が必要である。提供される情報が「ある程度役に立った」と「役に立った」場合では、満足度に大きな開きが見られ、Eメールやインターネットといったオンライン経由の連絡の場合で80pt以上、営業担当者やコールセンターといった人を介した連絡の場合では140pt以上の差が確認された。市場の混乱期における金融機関からの情報提供は不可欠であるが、顧客から「役に立つ」と感じられることが満足度向上の観点においては重要であることがわかる。顧客が必要としている情報を見極め、それを効果的なチャネルを通じて提供することで、顧客の不安を軽減し、ひいては金融機関に対する信頼と満足度を高めることに結びつくものと考えられる。金融機関が顧客とのエンゲージメントを深めるためには、重要な取り組みと言える。
J.D. パワー 2025年個人資産運用顧客満足度No.1を発表
総合満足度ランキングは下記の通り。
<対面証券部門>(対象5社)
第1位:野村證券(608ポイント)
「顧客対応」、「商品・サービス」、「口座情報」の3ファクターで最高評価。
第2位:三菱UFJモルガン・スタンレー証券(601ポイント)
<全国系銀行部門>(対象5行)
第1位:三井住友銀行(602ポイント)
「商品・サービス」、「口座情報」、「手数料・金利」の3ファクターで最高評価。
第2位:三菱UFJ銀行、りそな銀行(同スコア、596ポイント)
<ネット証券部門>(対象5社)
第1位:SBI証券(653ポイント)
「手数料・金利」、「商品・サービス」の2ファクターで最高評価。
第2位:楽天証券(652ポイント)
<ネット銀行部門>(対象5行)
第1位:auじぶん銀行(640ポイント)
「手数料・金利」、「商品・サービス」の2ファクターで最高評価。
第2位:住信SBIネット銀行(638ポイント)
第3位:ソニー銀行(637ポイント)
J.D. パワー 2025年個人資産運用顧客満足度調査(SM)概要
年に1回、民間の銀行、証券会社で、投資信託・株式・外貨預金・FXなどの資産運用を行っている個人投資家(全国の20歳~79歳)を対象に、主利用金融機関の直近1年間のサービス利用経験に対する満足度を聴取し明らかにする調査。今回で14回目の実施となる。
サービス形態を基に「対面証券」、「全国系銀行」、「ネット証券」、「ネット銀行」の4部門に分けて集計した。昨年まで発表対象であった「スマホ専業証券」は当社規定を満たさないため本年調査では対象外とした。
■実施期間:2025年4月上旬
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:銀行、証券会社で個人資産運用サービス(投資サービス)を利用した人(20歳~79歳)
■調査回答者数:10,763人
総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に以下の通り(カッコ内は影響度)。
【対面系】<対面証券部門>、<全国系銀行部門>:「顧客対応(担当者・オンライン・コールセンター)」(32%)、「商品・サービス」(29%)、「口座情報」(19%)、「手数料・金利」(14%)、「店舗施設」(5%)、「問題解決」(1%)
【ネット系】<ネット証券部門>、<ネット銀行部門>:「手数料・金利」(30%)、「顧客対応(オンライン・コールセンター)」(25%)、「口座情報」(24%)、「商品・サービス」(20%)、「問題解決」(1%)
*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
詳細はhttps://japan.jdpower.com/ja/our-benchmarking-study-methodologyをご覧ください。
【ご注意】チャートやデータを記事に引用する場合には、出典元として本調査名を明記してください。
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J.D. パワーについて:
米国に本社を置くJ.D. パワーは消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データと分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。ビッグデータや人工知能(AI)、アルゴリズムモデリング機能を活用して消費者行動を捉える先駆者であり、消費者に関する鋭い業界インテリジェンスを提供してきました。J.D. パワーは半世紀以上に渡って、顧客とブランド・製品に関わり続け、主要産業における世界の大手企業から、顧客対応戦略の指針として信頼されています。
J.D. パワーは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。
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