今回の参議院選は、「事実上の政権選択選挙」とも 言われるほど、皆さんの1票が結果を大きく左右する選挙だ。
関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」では、街の皆さん100人に「1番重視している政策」を聞いたところ、「物価高対策」が1位に。
各党現金給費や消費税の減税を掲げていますが、社会学者の古市憲寿さんは、「本来、物価高対策は、経済を『どう成長させるか』という、長期プランがあったほうがいいと思うが、現状は『現金ばらまきます』と『消費税下げます』という話」と指摘した。
その上で、「社会保障費の問題はもっと論点になるべき。政党は高齢者向けになりすぎでは」と述べた。

■「漫画もタバコも我慢」 街の人のリアルな声
その結果は、「物価高対策」が1位で50人、2位が「社会保障」で24人、3位が「少子化・子育て支援」で12人となった。
街の人の声は…。
<物価高>
40代:給料は上がらないのに、物の値段がドンドン上がっている。
40代:ガソリン税・酒税と消費税が重複して取られているのが気になる。
40代:何もかも高くなったので、漫画やタバコを買ってたら、おこづかいが足らない。
<社会保障>
60代:試算の半分くらいしかもらえてないので、年金の額を増やしてほしい。
70代:次の世代を担う人たちが希望や意欲を持てるように頑張ってほしい。
<子育て>
40代:子育てにお金がかかる。学費意外に制服代なども支援してほしい。
街の人の中には、「漫画やタバコを買っていたら、おこづかいが足りないから辞めた」という方がいた。
風間晋さん:おこづかい増えないんですよ。給料が増えないのと同じで。物価ばっかり上がるから、やっぱりどんどん切って行かないと、やってけないですよね。
(Q.おこづかいは何に使う?)
風間晋さん:僕ですか?やっぱり音楽ダウンロードとかね。
古市憲寿さん:サブスクで、そんなお金かかんないんじゃないですか?
風間晋さん:サブスクとかしないんですよ。それは、“終活”と直結するから、やっぱり買い取り!
青木源太キャスター:サブスクはそっか、万が一何かがあった時、ずっと取られ続けるからということですか。そういったことも考えている方もいるという。

■「自民党は政策作る力がなくなってる」と古市さんの厳しい指摘
物価高対策についての各党の主張だ。
与党の自民、公明は、「1人2万円の現金給付」を打ち出している。子供と、非課税世帯の大人に関して2万円を上乗せで、1人4万円、「本当に困っている人に重点を置く」という主張だ。
一方の野党は消費税の減税を打ち出している。立憲と維新は「期限を決め食料品の消費税を0%」に。
さらに国民は、「消費税一律5%」。ほかの野党も「消費税そのものの廃止」なども訴えている。

古市憲寿さん:すごい後ろ向きだなと思うのは、本来、物価高対策とかって経済をどう成長させるかという、長期プランがあったほうがいいと思うんですけど、現状は『現金バラマキ』と『消費税下げます』という話で、もっと『長期で経済をどう変えるか』ということを、あんまり示した政党がない気がするんですね。
ほんと目先のことばかりで、自民党が自滅だなと思ってて。自民党が消費税減税に反対するんだったら、『我々は現金も配りません』、『その代わり経済を成長させるので、我々を信じてくれ』というグランドプランを出せばいいのに、そこをなんか世の中に流されて、『2万円配ります』っていうのは、すごく間抜けな政策に見えるんですよね。
しかも2万円なんか配ったら、どうせこう批判が当然あると予想されると思うんですけど、『新人議員には10万円配ったのに、石破さんは国民には2万円しか配らないのか』と突っ込まれるじゃないですか。突っ込まれるのは決まってるのに、こういうバカな政策やっちゃうっていうのは、今の自民党がどんだけ政策を作る能力がなくなってるかということを示してると思うんですよね。

■「現金給付か消費税減税か、二分する議論に違和感」
直近の世論調査でも、与党、自公は過半数厳しいという情勢になっている。
ビジネスジャーナリストの瀧口友里奈さんは「給付や減税だけでなく、”賃金をどう上げるか”など経済政策全体について議論してほしい」と話す。
瀧口友里奈さん:経済対策全体の話をきちんとテーブルに乗せることが各党必要なはずなのに、現金給付または消費税減税と、二分するような議論になっていること自体が違和感あります。
(Q.そもそもその対立軸で話をするのがおかしい?)
瀧口友里奈さん:そう思います。街の声で上がった『給料が上がらないのに』というその部分ですよね。“賃金をどう上げるか”って、“ここをどうしたいのか”という所をどの党も打ち出してほしいと思います。例えば、生産性を上げるということが賃金の上昇につながるはずなので、“良い方にAIを使って企業の生産性上げましょう”とか、そういったところを真剣に向き合ってほしいと思います。
青木源太キャスター:“手取りアップ”を掲げている政党はあるわけじゃないですか。だから社会保障にメスを入れるとか、税金にメスを入れる。そうじゃなくて、そもそもの賃金を上げるという。

■「現役世代の社会保障費が上がりすぎ」と古市さん 「そもそも野党は実現可能性あるの」と風間さん
古市憲寿さん:だから本当に社会保障費というのはもっと論点になっていいはずなのに、維新が若干言ってますけど、要は今、社会保障費がどんどん上がってるわけですよ。まあその消費税ばかり注目されますけど、現役世代が働いてるのに、社会保障費がどんどん上がってる。これってある種取りやすいお金なんで、どんどんこれまで上がって来たんですけど、でもやっぱり現役世代の手取りがここまで減ってくると、そこって本当はもっと我々は気にしても良いところなんだけど、なかなかそこに注目度が集まらないっていうか、やっぱり各政党、高齢者向けになりすぎてんじゃないかなって気がしますね。
風間晋さん:一番取りやすいのは、消費税でしょう?黙ってたって入ってくるわけだし。
古市憲寿さん:消費税も大事だと思いますよ。でも現役世代の社会保障費も上がりすぎじゃないですか?
風間晋さん:うーん。でも僕は思ってるのは、この野党の各党が、色々と消費税減税のこと言ってるじゃないですか。でもバラバラで、一体、本当に実現可能性はどれだけあるんだろう。野党がたとえ多数を万が一取ったとしても、その後まとまるんですか?どういう消費税減税をやるのか。あるいは、自民党・公明党が少数与党で参議院も行くっていう場合に、野党と一緒に何か調整できるんですかという所を、見て行かないといけないんじゃないかなと思いますけどね。
瀧口友里奈さん:実現可能性のところですよね。
青木源太キャスター:選挙終わった後も、厳しい目でしっかりと見ていかないといけないということになります。
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年7月14日放送)
