今回の参院選では長引く物価高、コメ価格高騰、トランプ関税への対応など、さまざま争点で論戦が交わされています。有権者は何を思い、1票を投じるのか。話を伺いました。
宮城県美里町の後藤幸太郎さん(69歳)。47歳の時、会社勤めから家業であるコメ農家に転身しました。近年のコメ作りは暑さとの戦いと話します。
後藤幸太郎さん(69歳)
「水温も結構ありますね33度あります。お湯です、お湯。ちょっとしたお風呂」
JAに委託してコメを販売している後藤さん。見せてくれたのはJAから受け取る前払い金「概算金」の単価表です。
後藤幸太郎さん(69歳)
「この時(4年前)はコロナで、外食産業が消費しなくなったので60キロあたり9100円。それが去年、買い入れの説明会の時は1万5900円だったんですけど」
新型コロナによる“コメ離れ”に“令和のコメ騒動”。農家の収入はその時々の社会情勢によって大きく変わります。そうした背景もあってJAが果たしてきた役割は大きいと話します。
後藤幸太郎さん(69歳)
「大規模農家だけではなくて、小規模なところも農協は一俵から出荷できますから、同じ値段で買いますから、農村の環境も生産補助も守られる」
コメの価格高騰を発端に参院選の争点になっている農業の未来。消費者も生産者も納得できるコメの価格は…。後藤さんは簡単ではない問いを政治が答えるためには、まず、現場を見るべきだと訴えます。
後藤幸太郎さん(69歳)
「ぜひ現場を見に来てください、これからの農業を一緒に考えましょう」
かつて日本有数の鉛の産地として栄えた栗原市栗駒地区。その中心部にあるのが六日町通り商店街です。
杉浦風ノ介さん(48歳)。2年前、古民家を改装しコーヒー豆店を開業しました。
杉浦さんの地元は神奈川県。この場所に縁もゆかりもありませんでしたが、およそ20年前、母親が古民家を買ったことをきっかけに、この地に移住してきました。
今は行政と連携して空き家を使った“開業支援”に力を入れています。そのかいもあって、この10年におよそ40店舗が開業し、49人が移住してきたそうです。
杉浦風ノ介さん(48)
「地元の人が帰ってくるのが一番いいんでしょうけど、なかなか帰ってこない現状もあって、今は移住者がたくさん増えていくような町になって、その人たちと地元の人たちが一緒に商店街を形成していける形になればいいなと思います」
一方で、栗駒地区の人口流出は加速。現在は、ピーク時の半数の9000人あまりとなり、そのうちおよそ半数が65歳以上の高齢者です。
地方の人口減少に“一極集中”…。政治には“地方創生”という言葉の意味を、改めて正面から考えてほしいと訴えます。
杉浦風ノ介さん(48)
「地方にもっと活気の出るような政治を、私は求めます」
仙台市で保育士として働く、名古屋真朝さん(41歳)。5歳の息子と2歳の娘を育てる母親でもあります。仕事が終わったら分刻みのスケジュール。最近は毎食のメニューに、頭を悩ませています。
名古屋真朝さん(41歳)
「できるだけバランスよくとは思うけど、最近はもやし率が高くなって。もやしと豆苗とキュウリと」
1カ月の食費は5万円以内と決めていますが、物価高によって、葉物野菜や果物など買える食材の種類が減ってしまったそうです。
それもそのはず。帝国データバンクによりますと、今年値上げされた食品は1万8000品目を超え、すでに、去年1年間の実績を5割近く上回りました。
名古屋真朝さん(41歳)
「ごはんって楽しく食べたいから、物価を気にしすぎて、あれも買えない、これも買えないとなるのは嫌なので」
毎月、家計簿をつけている名古屋さん。食費だけでなく、電気代に、保育料の支払い…。子供を安全に、そして健やかに育てるためには、お金がかかると話します。
名古屋真朝さん(41歳)
「一生懸命働いても、保育料でこんだけかかると、ちょっと落ち込みますね。教育無償化とか、子供にかかるお金が少しでも少なくなっていくと、もう一人産みたいなという人も増えると思う」
政治には、今を生きる子供たちに、将来への負担を残すべきではないと訴えます。
名古屋真朝さん(41歳)
「この子たちがこれから生きていく未来が、少しでもいいものになるように、今のことだけじゃなくって、未来の日本のことも考えられるような政治になっていたら、うれしいなと思います」