EU=ヨーロッパ連合の首脳会議で通訳の女性がロシアのスパイ活動に関与したとしてベルギー当局が捜査に乗り出しました。
フランス大手紙「ルモンド」によりますと、解雇されたのはフランス語とウクライナ語の通訳で、ロシア人の両親を持つ女性です。
女性は去年12月、ベルギーの首都ブリュッセルで開催されたEUの会合で、ウクライナのゼレンスキー大統領と各国首脳だけが参加する非公開の会議に通訳として出席していました。
この会議ではEU加盟国によるウクライナの軍事支援などについて協議が行われていました。
防衛や安全保障を議論する機密性の高い会議では、情報漏洩やスパイ活動を防ぐため、規則によりメモを取ることは禁止されているということです。
しかし、通訳の女性が詳細なメモを取っているところを、別のブースにいたチェコ語の通訳が目撃して警備員に通報し、女性通訳はその場で取り押さえられ、使用していた機器なども押収された上でその日のうちに通訳の契約を解除されました。
女性はスパイ行為の疑いがあるとして現在、ベルギー当局が捜査を進めています。
女性はおよそ20年にわたりEUやNATO=北大西洋条約機構で通訳を務めてきましたが、フランスとベルギーにあるウクライナ大使館は、女性通訳が「ロシア当局とのつながりが疑われる」として大統領の訪問に立ち会うことを拒否してきたということです。
この事案についてEUの報道官は「問題の通訳が、我々が過剰と判断する量のメモを取っていたことが判明したため、これらのメモを没収する決定が下された。
この人物との契約を終了する結論に至り、我々がこの人物に通訳業務を依頼することはない」と回答しました。