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国技館の一角にある相撲教習所で、富山市出身の鶴英山が力士としての基本を学んでいる。5月場所でデビューし、今月13日から始まる七月場所で西幕下五十枚目に番付を上げた鶴英山の教習所での一日に密着した。

早朝から始まる力士の一日

午前7時前、国技館の外周で力士たちがランニングに励んでいる。相撲教習所は新弟子が半年間、本場所のない月に通う学校で、現在はおよそ60人の力士が学んでいる。

「走るのは嫌い」と笑顔で話す鶴英山だが、力士としての基礎を身につけるため真剣に取り組んでいる。

「鶴英山」に改名した思いとは

先場所、浦山として幕下付け出しでデビューした鶴英山は、今場所から「鶴英山」に改名した。師匠の元横綱・鶴竜の「鶴」に、朝乃山の恩師でもある父・浦山英樹さんの「英」、そして苗字の浦山と地元の富山・立山の「山」を組み合わせたものだ。

「地元の人に覚えてもらいたい」と、自らしこ名を考え師匠に願い出たという。

A土俵で腕を磨く実技の時間

午前8時からの実技では、それぞれの実力に応じてA、B、Cの3つのグループに分かれて稽古が行われる。鶴英山は最もランクが高いA土俵で、同世代のライバルたちと汗を流す。

「アマチュアでやっていた時と全然雰囲気が違って、独特の緊張感があって思うように体が動かなかった」と5月場所を振り返る鶴英山。それでも4勝3敗で勝ち越し、七月場所では番付を上げた。

元関脇・琴勇輝の荒磯親方は「体自体は経験者なので出来上がっているが、細かいところを身につけてもらい、これから彼が強くなるために必要なことを指導している」と期待を込める。

学科の授業も力士の大事な仕事

実技が終わると学科の授業だ。相撲の歴史や社会など様々な授業が曜日ごとに組まれており、この日は国語と書道の授業だった。

「難しい」と言いながらも書き上げた作品は70点と自己評価。「1枚目書いたときよりも成長できた」と笑顔を見せた。

力士の楽しみ、食事の時間

授業を終えて力士たちが向かったのは国技館地下の食堂。お腹をすかせた力士たちはたっぷりとごはんをよそう。

「お腹がすいていたので体にしみる」とハヤシライスをほおばる鶴英山の姿は等身大の22歳だ。

同じく5月場所でデビューした花岡は「浦山の方が食べる」と笑わせる。

食事後は力士全員で「相撲練成歌」を歌って一日を終える。

鶴英山は「七月場所は大勝ちできるように精一杯頑張りますので、応援よろしくお願いします」と意気込みを語った。七月場所では2日目の14日に教習所で共に学んだ花岡と対戦する。また、西幕下筆頭に番付を上げた朝乃山は初日に西幕下二枚目の夢道鵬と対戦する。二人そろっての勝ち越しに期待したい。

富山テレビ
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