放火やストーカー規制法違反などに問われた元消防士の裁判で富山地裁は求刑7年に対し、懲役6年を言い渡しました。
一方、争点となった殺人予備と放火予備罪について、裁判所は無罪としました。
判決を受けたのは高岡市消防本部の元消防士、林陽太被告(27)です。
林被告は元交際相手の女性に対するストーカー規制法違反、富山市の住宅に火をつけ、玄関を燃やした放火の罪、また立山町のアパートで郵便受けからガソリンを流し込んだ、放火予備と殺人予備など5つの罪に問われています。
富山市の住宅と立山町のアパートはそれぞれ林被告が以前交際していた女性の新しい交際相手の実家や自宅でした。
裁判で検察と弁護側の意見が対立したのは、立山町のアパートでガソリンを流し込んだとされる事件で、検察が放火予備と殺人予備罪を主張したのに対し、弁護側は「現場に火をつける道具を持って行っておらず殺意はなかった」として罪は成立しないとしていました。
11日の判決で梅澤利昭裁判長は「現場で着火道具を所持している証拠はなく放火や殺人の意思があったのか合理的な疑いが残る」として殺人予備と放火予備について無罪を言い渡しました。
一方、残る3つの罪については「消防士として本来ならば市民を守るべきはずが放火という手段を選択し、強く非難に値する。女性に対する執着心や歪んだ嫉妬心の動機から常軌を逸した犯行」として懲役6年を言い渡しました。
判決について検察は「判決内容を精査し協議の上、適切に対応したい」とコメントしています。