事実上の政権選択選挙と位置づけられる今回の参議院選挙。

私たちが直面した未曽有のコメ価格高騰も判断材料の一つだ。

消費者、農家、小売店はそれぞれの立場でどう考えるのか。

食卓に欠かせない主食のコメ。

2024年から続く価格高騰が暮らしを直撃している。

食卓に欠かせない“コメ”
食卓に欠かせない“コメ”
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6月に随意契約による備蓄米を早朝から並んで10キロ購入した、高田勉さんと桂子さん夫婦。

現在はどうしているのか。

「きょうも備蓄米です」(高田桂子さん)

「おいしいね」(高田勉さん)

高田勉さん・桂子さん夫婦
高田勉さん・桂子さん夫婦

これまでに高田さん夫婦はあわせて30キロの備蓄米を購入。

北海道南部の八雲町に住む妹にも送ったという。

「妹は良かったと言っていた」(高田桂子さん)

「地方には備蓄米がまだ回っていないみたいだ」(高田勉さん)

地方では備蓄米が十分に行き渡っていない現実もあるようだ。

高田さん夫婦は30キロの備蓄米を購入
高田さん夫婦は30キロの備蓄米を購入

コメ政策を巡り高田さん夫婦が参議院選挙に求めるものは。

「生活するには安い方がいいが、いくらという金額を計算するのは難しい。農家が1俵60キロをいくらで卸せば採算がとれるのか。ある程度国が介入して価格調整を行い、農家も採算がとれ負担がかからない金額を打ち出すより方法がないと思う」(高田勉さん)

国の介入による価格調整が必要だとする高田勉さん
国の介入による価格調整が必要だとする高田勉さん

国は1971年から、作付面積を制限し生産量を調整する減反政策を取ってきた。

2018年に廃止されたがその後も事実上の減反が続けられ、約50年でコメの作付面積は半分以下に減った。

政府は2025年からコメの増産に踏み切る方針を示している。

1990年代の稲作
1990年代の稲作

「今さら田植えはできない。疑問でしかない。本当に何をやりたいのかをしっかり言ってほしかった」(川添農園 川添宏明さん)

旭川市の稲作農家、川添宏明さん。

31ヘクタールの水田を耕作し、年間約220トンのコメを出荷している。

川添農園 川添宏明さん
川添農園 川添宏明さん

増産の方針が示された時には田植えは終わっていた。

川添さんは既に水田を4ヘクタール拡張しているが、その費用も大きな負担だ。

「平らに大きくするだけで約550万円。水はけをよくする工事をすると倍以上かかるので1000万円以上はかかる。そういうものを合わせると自己負担ではかなり厳しくなる」(川添さん)

増産のための設備投資が経営を圧迫する。

さらに―。

「懸念しているのは、輸入米が一気に入ってくるのではないか。米価が今は高いが今後暴落する可能性もあるので、生産量と流通量をある程度政府が把握してコントロールすることが大事」(川添さん)

政府による生産量と流通量のコントロールが大事と話す
政府による生産量と流通量のコントロールが大事と話す

釧路市の米穀店「こめしん」だ。

こちらではコメの鮮度を重視することから、備蓄米の販売は行わなかった。

しかし、備蓄米の放出には理解を示している。

「価格が去年の倍というのは異常値ですから、備蓄米放出のスピード感はかなり早く非常にいいことだった」(こめしん 徳山淳一会長)

釧路市の米穀店「こめしん」
釧路市の米穀店「こめしん」

一方で、急な増産は間に合わないのではと懸念している。

「国がすぐに増産といっても種もみがなくて、作りたくても作れない農家もある。1~2年かかり、来年には間に合わないのでは」(徳山さん)

減反から増産への歴史的転換点。

コメ価格の安定に果たす政治の役割が問われている。

こめしん 徳山淳一会長
こめしん 徳山淳一会長
北海道文化放送
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