福井県内の魅力を再発見する「小旅」のコーナーでは、今回、大野市九頭竜を訪ねます。恐竜といえば…勝山市の県立恐竜博物館ですが、実は大野も負けていません。恐竜のルーツに迫ることができる“もう一つの恐竜博物館”を紹介します。
◆実は…大野も“化石の宝庫”
大野市街地から中部縦貫自動車道で約30分。道の駅「九頭竜」のすぐ隣にあるのが「くずりゅう化石ラボ ガ・オーノ」です。2023年に和泉郷土資料館をリニューアルし、オープンしました。
中に入ってみると、この周辺で見つかった化石など200点以上がずらり。
実は、九頭竜湖周辺は“化石の宝庫”なんです。
中には、大きな「アンモナイト」も!山側の大野にどうして海の生物の化石があるのか、大野市の酒井学芸員は次のように説明します。「かつて大野は大陸の一部で、海がそばにあった。大陸の一部が移動してきて、いまの大野市が位置しているところに存在している」
九頭竜湖周辺には約4億4000万年前~6600万年前まで、幅広い時代の地層があります。恐竜はもちろんさらに大昔の海の生き物まで、さまざまな化石に出会えるのです。
◆大野の勝山の地層には1000万年の差
施設の目玉展示は、ティラノサウルス類の歯の化石。長さ、わずか1センチほどの化石です。初期のティラノサウルスの仲間は、体長1.5メートルほどしかなかったようです。
大野市の酒井学芸員:
「石川・白山市で見つかった化石と並んで“日本で最も古い化石”で、日本のティラノサウルス類の進化・流れを知るうえで重要な化石」
恐竜の化石が発掘される「大野」と「勝山」。実は化石が見つかっている地層には、約1000万年の差があります。この2つの産地を調べることで、福井の恐竜をより深く知る手がかりになると酒井学芸員は話します。「近い地域で時代が違う恐竜を発掘しているところは珍しい。大野と勝山で見つかっている恐竜や動植物の化石を比較してもらえるとおもしろい」
比較することで見えてくる太古のストーリー。
ガ・オーノから車で数分の場所には、化石発掘体験ができる施設もあります。中部縦貫道の工事で出た岩石を、ハンマーなどを使って砕くと…貴重な化石が見つかるかも。
腹ごしらえは、やっぱり特産の「まいたけ弁当」で。
緑豊かな大自然。そして、ここには“太古の歴史”が眠っています。
<くずりゅう化石ラボ ガ・オーノ>
アクセス:大野市街地から中部縦貫自動車道を通って約30分
入館料:大人400円(中学生以下は無料)
※土砂崩れの影響で通行止めとなっている岐阜県境の国道158号線は、7月18日から仮設道路が開通予定。