参議院選挙について詳しくお伝えする「もっと投票の前に」です。

選挙ドットコムとコラボし、データを交えて詳しく見ていきます。

選挙ドットコムの公示の7月3日から6日間の政党名のキーワードを含むYouTubeの再生回数を、政党別に分けました。

1番が参政党で、約1億1393万回再生。

7月3日から6日間の時点で自民党が6200万弱ということで、その下にれいわや日本保守党が続いている現状です。

参政党と2番目の自民党と比べても、ダブルスコア近い数字が出ています。

一番見られている動画は、備蓄米の時のものも含めて米問題に関しての演説です。

8日までは約238万回再生でしたが、10日の「イット!」の放送前に確認すると、300万回を超えていてまだ数字伸びていく可能性があります。

参政党でもう1つ話題になっているのは、「新日本憲法の構想案」というものです。

印刷するとA4で11枚ほどで、1章から7章全部で33条あります。

1章の前に前文というものがあり、その中の一文に「公権力のあるべき道を示し、国民を本とする政治の姿を不文の憲法秩序とする。これが今も続く日本の國體である」と記されています。

旧字が使われている「國體」という意味を広辞苑で調べると、「“國體”とは、国家の状態。国の体裁を表し、主権または統治権の所在により区別した国家体制」とされています。

さらにもう一文、「第2次大戦前・戦中の日本では天皇制を指した言葉である」と、広辞苑には記載がありました。

続いて、第1章の天皇という部分では「天皇は、元首として国を代表し」と書かれています。

元首というのは「外国に対して国を代表する人」ということで、アメリカでいえばトランプ大統領になります。

日本において言えば、現在の憲法には国家元首の規定がないため「象徴である天皇が元首」という考えと「政治トップの首相が元首である」という意見が、専門家の間でも二分しているということです。

参政党の創憲チームが作った新日本憲法の構想案には、元首が天皇と書いてあるんですね。

「国民」の要件という部分では、「父または母が日本人であり、日本語を母国語とし、日本を大切にする心を有することを基準として、法律で定める。国民は、子孫のために日本をまもる義務を負う」と書かれています。

家族についても言及があり、「婚姻は、男女の結合を基礎とし夫婦の氏を同じくすることを要する」としています。

婚姻・結婚を男性・女性結合が基礎と明文化し、名前もそろえるということです。

更に、「権利」という部分には、「権利には義務が伴っている。自由には責任が伴う。権利および自由は、濫用してはならない」と自由に対しても言及があります。

「教育」に関して抜粋すると、「国語と古典素読歴史、神話などを必修とする」ということです。

教育勅語など歴史の詔勅愛国心と、様々なことを「尊重しましょう」というのが細かく書かれています。

神話の天照大御神や戦前の教育に近い表現が明文化されていまます。

YouTubeで再生回数が多かった米・食料に関しても記載があり「食糧は、主食である米作りを中心に種子や肥料も含めて完全な自給自足を達成しなければならない」と書かれています。

これは構想案ということです。

実際に、皆さんどのように捉えているのか、インターネット上の声を集めてみました。

支持する声として、「歴史と伝統、国柄を守ること。これは普通の話」「創憲こそが日本が敗戦から立ち直ったことを意味する」という声もあれば、一方で、「参政党が取り戻したいのは戦前の政治なのか」「日本を守る義務があると書いてあって徴兵制度の準備に見えてしまう」「人権規定がごっそり抜け落ちている。国民が国家の道具にされる憲法」という疑問の声もあります。

これに対して参政党の神谷宗弊代表は8日、「まだ“試案”であくまで草案。大きな方向性を示しただけ。これから改めていきたい。我々は天皇主権の国を作るとか国民主権じゃなくするとかそういうことは言っていません。言葉足らずな部分があるということですので、憲法に改めていきたい。」と発言をしています。

参政党の創憲を見ていきましたが、10党を見ていくと、社民、共産、れいわが護憲、中間辺りに立憲民主党と公明党、改憲に国民、民主、自民、維新、参政党、保守党というスタンスです。

各党のウェブサイトにも掲載されていますので、しっかり見ていただきたいです。

今回取り上げた参政党は、日本人ファーストや物価高対策の減税など争点となっている政策を掲げている政党ですが、一方で、「新日本憲法構想案」ではとがった内容も主張しています。

投票の前に、動画だけでは読み解けない様々な面があるという情報を知ったうえでの投票につなげていきたい思います。

――金子恵美さんはどうお考えですか?

思想をすごく強く打ち出していて、引き付けるという意味では1つの戦術なのかなと思います。

自民党も新憲法草案とか何度か提案していますので、神谷代表おっしゃっているように、今後ブラッシュアップしていくということだと思いますね。

選挙戦は中盤に差し掛かっていますが、選挙期間中は引き続き質的公平性を担保しながらお伝えしていこうと思います。