「チームの緩みが敗因だった」夏の高校野球岩手県大会を前に、花巻東の中村主将は春の県大会での敗退を振り返る。県内屈指の強豪校が18年ぶりのノーシードから3連覇に挑む。春のセンバツでベスト8の好成績を残した直後の挫折を糧に、チームは「守り勝つ野球」を掲げ、進化を遂げようとしていた。
春の初戦敗退から見えた課題
花巻東高校硬式野球部は、夏の県大会2連覇中で、これまでに12回の夏の甲子園出場を誇る県内屈指の強豪だ。

2025年の春のセンバツでは7年ぶりにベスト8と健闘したが、その後の春の県大会では初戦で盛岡一高に6対7で敗れ、18年ぶりのノーシードとなった。
中村耕太朗主将(3年)は「チームの中で緩みが出た部分が本当にあって、負けを自覚した中で次にどうこの失敗を生かしていくかが勝負だと話しながら向き合ってきた」と語る。

チームは何度もミーティングを重ね、敗因は気の緩みにあったと結論付けた。カバーリングや声出しなど基本的なプレーから全力を尽くすことを心掛けている。
「守り勝つ野球」をテーマに
夏に向けて花巻東が掲げるテーマは「守り勝つ野球」だ。多くの時間を守備練習に割いている。
佐々木洋監督は「低反発のバットになってバッティングは水ものだと感じているので、改めて夏勝つのであればピッチャーを含めたディフェンスだと思う」と説明する。

佐々木監督が勝利のキーマンとして挙げるのが、多彩な投手陣の大黒柱を担う3年生の金野快投手だ。春のセンバツでは140km/hを超えるストレートと落差の大きいフォークを武器に、エースとして3試合で14イニングに登板した。

金野投手は「(センバツで)感じたことは甘いコースに行って、簡単に打たれることが多かったので、この夏に向けてはコントロールと球速の部分で強化してきた」と話す。

センバツ後は新たにカーブも習得し、緩急をつけた投球が可能になった。投手陣の充実ぶりが花巻東の強みの一つとなっている。
長打力が武器の2年生スラッガー
打撃面では、2年生の古城大翔選手が注目を集める。身長182cm・体重90kgの体格から繰り出す鋭いスイングが魅力のスラッガーだ。
2024年の夏の甲子園では1年生ながら4番に座り2安打をマークした。

「長打力は一番の強みだと思っている。県大会ではそれが発揮できなかったので、夏もう一度このチームのために自分の一打出してやるという思い」と古城選手は意気込む。
「一戦必勝」で挑む最後の夏
心を一つに「一戦必勝」を誓う花巻東。佐々木監督が全幅の信頼を寄せる中村主将も強い思いで最後の夏に臨んでいる。

「最後の大会にかける思いは並々ならぬ思いが3年生中心にある。一戦必勝でとにかく一戦一戦を大切にして戦っていきたい」と中村主将は決意を語る。

県勢史上初の3連覇へ、ノーシードから花巻東の夏が始まる。
(岩手めんこいテレビ)