20問に答えるだけ…自分の考えに近い政党が分かる
参議院選挙について詳しくお伝えしていく「もっと投票の前に」。今回は「ボートマッチ」についてお伝えする。

木村拓也キャスター:
日本最大級の選挙・政治情報サイトの「選挙ドットコム」とのコラボでお伝えしていきます。「ボートマッチ」とは、ボートは投票、マッチはマッチングで、自分が考えていることと投票したい候補者を一致させるというもので、世界で主流になってきているそうです。日本においても、ここ数年インターネット上で普及してきていますが、皆さん使ったことはあります?
SPキャスター山口真由さん:
使ったことあります。大学生とかにもよく聞きます、若い方で。
青井キャスター:
まず、導入部分としてやってみようかなみたいな。
宮司キャスター:
まずは…って感じですよね。

木村キャスター:
このボートマッチが、どういったものなのかを見ていきたいと思います。選挙ドットコムが実施している投票マッチングというもので、まず設問が20個あります。

「20の質問に答えるだけであなたの考えに最も近い政党をマッチングします」でスタートをしていくと、20問出てきます。1つ目が「物価高対策として、現金を給付するべきですか?」というもので、賛成・やや賛成・中立・やや反対・反対の選択肢があり、これらを20問回答していきます。質問の最後に自分の中で重要度が高いものや年代などの属性を選んで「投票マッチングを行う」を押すと、自分の考えに近い政党がパーセンテージで表示される仕組みになっています。パソコンやスマホで約5分で簡単に出来ます。選挙ドットコムだけではなく、新聞各社などもボートマッチを行っています。

この背景としては、党が増えていって公約や政策が分かりづらいということから、2021年の衆院選から始まりました。前回の衆院選では350万人、前回の参院選でも170万人が利用したということです。選挙ドットコムの鈴木邦和編集長によると、これがヨーロッパでは1980年代から使われていて、オランダでは有権者の50%、ドイツでも4分の1の25%が利用していて、投票行動において大きな影響にもなると言われています。どうして自分の考えに近い政党が出てくるのか、その仕組みについて投票マッチングを行っている選挙ドットコムに取材をしてきました。
原宿に本社がある選挙ドットコム・鈴木邦和編集長に話を聞いた。
木村キャスター:
投票マッチングは、どうやって作っているんですか?
選挙ドットコム・鈴木邦和編集長:
各政党に20問を政党の本部に質問させて頂きます。参院選の前から質問を送って、それに対して政党から回答をいただいたデータを反映。そもそも20問という設問自体も、今回の国政政党プラス全国比例に候補者擁立している団体で、全体で15~20くらいあり、それをきれいに判定するのに20問くらい必要。10問だとあまり差が出なくて、正しいマッチング結果が出なくなってしまう。
木村キャスター:
設問の順番や内容は、どう変化をつけているんですか?
選挙ドットコム・鈴木邦和編集長:
我々の方で全政党の公約を読んで、その中で特に今回違いが出るもの、注目を集めているものを
ピックする。有権者の方に対して毎月世論調査をしているので、その中で関心の高い政策を聞いている。
公示前から質問を既に送っていて各政党から返ってきた回答を資料にまとめており、公開から4日間で約51万人が利用しているという。

木村キャスター:
「ボートマッチ」20の質問では、以下の質問がされています。関心の高いものから、非常に踏み込んだ政党の色が出やすい設問もあります。
「ボートマッチ」20の質問
1「
物価高対策として現金を給付するべき? 」
2「食料品にかかる消費税を0%にすべき?」
3「大企業への課税を強化すべき?」
4「基礎年金の加入期間を65歳までに延ばすべき?」
5「大学の授業料を無償化すべき?」
6「ガソリン税の暫定税率を廃止すべき?」
7「原子力発電所を増設すべき?」
8「コメを増産するために農家への所得補償を拡充すべき?」
9「日本の防衛費を増額すべき?」
10「憲法9条に自衛隊の存在を明記すべき?」
11「子ども・子育て支援金制度の財源として公的医療保険料に上乗せして徴収すべき?」
12「市販薬と効果が似ている医薬品の保険適用を見直すべき?」
13「選択的夫婦別姓を導入すべき?」
14「女性天皇を認めるべき?」
15「外国人労働者の受け入れを制限すべき?」
16「非正規雇用を解消するために派遣労働は専門性の高い職種に限定すべき?」
17「国債の発行額を当面増やしていくべき?」
18「国土強靭化の予算を増やすべき?」
19「企業・団体献金を禁止すべき?」
20「選挙におけるSNS規制を強化すべき?」
木村キャスター:
これは全部で15の政党と政治団体から回答を得ています。政党要件を満たす満たさないとかでなく、かなり幅広く取っているということです。

各党の回答を見ていきます。1つ目の「物価高対策で現金給付をするべき?」という質問に対し、自民党はやや賛成、立憲は賛成、公明は賛成、維新は反対、共産は中立、国民は反対、れいわは賛成、参政は反対、社民は反対、保守は反対、再生はやや賛成、みらいはやや賛成、みんつくは中立、NHK党は反対、無所属連合は反対という回答になっています。
2つ目の「食料品の消費税を0%にすべき?」という質問に対しては、自民が反対、立憲が賛成、公明がやや賛成、維新が賛成、共産がやや賛成、国民がやや反対、れいわが反対、参政は反対、社民が賛成、保守が賛成、再生が反対、みらいがやや反対、みんつくが賛成、NHK党が反対、無所属連合がやや反対となっています。政権与党でも割れている部分があります。
「大企業への課税を強化をすべき?」という質問には、自民は中立、立憲がやや賛成、公明が中立、維新が中立、共産が賛成、国民が中立、れいわが賛成、参政が反対、社民が賛成、保守がやや反対、再生がやや賛成、みらいが中立、みんつくがやや賛成、NHK党が反対、無所属連合が賛成という結果になっています。
青井キャスター:
山口さん、この仕組みはどうですか。
SPキャスター山口真由さん:
私自身は、支持政党と全然違う政党を提示されたりして、固定概念を覆すという意味ではすごく面白いなと思いました。私、こことマッチングしてるんだみたいな。
青井キャスター:
自分はこう思ってたけど、実は違ったのかみたいな。
宮司キャスター:
他に目を向けるきっかけにはなりますよね。
実行力や思い、人物像を見ることも大事
木村キャスター:
設問と回答を照らし合わせるのがきっかけになると思うんですが、気になる部分がありました。

選挙ドットコム・鈴木邦和編集長:
自民党であれば「物価高対策として現金給付するのか」に対して、「やや賛成」という回答と、何故このスタンスなのか全部回答頂いている。
木村キャスター:
自民は、現金給付に“やや”賛成なんですね。
選挙ドットコム・鈴木邦和編集長:
意外とそうなんです。ちょっとびっくりしました。
木村キャスター:
自民党が現金給付に対し、やや賛成な理由を深掘りして鈴木編集長に聞くと、これは自民党に限らずですが、各政党もボートマッチは非常に大切なものであると意識していて、有権者の回答が多そうな選択肢に少し寄せたようなものも戦略というニュアンスもあったということです。あとは給付一つ取っても党内でグラデーションがあるので、オフィシャルの回答にするときはやや賛成ということになるのかもしれないです。
青井キャスター:
山口さん、その辺も含めて参考にしながらということですね。
SPキャスター山口真由さん:
そうですね、ボートマッチだけを絶対的に信じちゃいけなくて、あくまでも出発点ということなんですね。

木村キャスター:
おっしゃる通りで注意事項も見ていきます。鈴木編集長によると、掲げている政策ももちろん大事ですが、それを党として実行力があるかというのも見ないといけません。勿論政策を知ることも大事ですが、やはり人であるが故に候補者の人物像であったりどんな想いを持っているかというのもバランスよく見ていかなければならないということがあります。あくまでもこれは入り口として、出口もこれであってはならないということです。
様々な引き出しの中で、政策を見比べた上で、もっと投票の前に考えてみていただきたい。
(「イット!」7月8日放送より)