「運のいいことに能登で地震があった」発言から一夜。
自民党の鶴保庸介氏が記者会見で「言葉足らずであった」と自身の発言について陳謝・撤回した。立憲民主党の野田代表からも「失言というレベルじゃない」などと批判が相次いだ。
「思った発言では全くありません」釈明・陳謝
午前11時からの記者会見を前に、ソファに手をつきながら会見開始を待つ自民党の鶴保庸介氏(58)。

参議院で当選5回、閣僚経験もあり、現在は予算委員長を務めている。

自民党・鶴保庸介参院予算委員長:
能登地方が被災したことを「運良く」などと発言してしまいましたが、思った発言では全くありません。被災地への配慮が足りなかったと反省しております。言葉足らずであったと。

「言葉足らずであった」と釈明し、陳謝・撤回をした鶴保氏。
「運のいいことに能登で地震があったでしょう?」という発言は、なぜ飛び出たのか。
石破首相到着前に「総理おらん間に言います」
参院選の自民党候補を応援するため、8日、地元・和歌山県内で演説をしていた鶴保氏。
問題の言葉は、演説会場に石破首相が到着する前の出来事だった。

自民党・鶴保庸介参院予算委員長:
私たちのこの選挙、大変厳しい選挙になってしまいました。正直申し上げて何もしてくれへんかったやないか(という声がある)。これ(石破)総理おらん間に言っておきますね。

その後、自らが推し進める“二地域居住”、複数の地域に拠点を設ける生活様式のメリットを語り始めた鶴保氏。その中で発言が飛び出たのだ。

自民党・鶴保庸介参院予算委員長:
二地域の居住ができるようにしよう、総務省はこういう時に立ちはだかって反対する。しかし今回に至っては本当に協力的でした。また、運のいいことに能登で地震があったでしょう?結局、緊急避難的ですけど、金沢にいても輪島の住民票が取れるようになっていったんですよ。やればできるじゃないかって話で。
二地域居住の事例として被災地取り上げたか
二地域居住の事例として、被災地から離れた避難先でも住民票が取れたことが、“運のいいこと”だと言いたかったのだろうか。

9日の会見では、こうした政策を推し進める事例として、「被災地を取り上げたことは配慮不足だった」と陳謝した。
さらに「被災地に訪問もさせていただき、お見舞い金なども持って行かせていただいたところ。今後どうやって被災地を支えていくかについて、心を砕いている者の1人であるという自負はしているつもりです」と述べた。
「“たま”…何だっけ?」珠洲市を忘れたか
ただ、8日の演説では、「能登で地震があったときに、“地震の上のほう”であったのは、輪島だとか、あの…た、え~っと“たま”…何だっけ?あの上の方ね、能登半島の」と発言する場面もあった。

能登半島の上にある「たま」とは一体…。
震度6強の揺れに加え、津波も襲い甚大な被害が生じた珠洲市のことだったのか。
9日の会見では、記者から運のいいことに能登で地震発言を巡る責任の取り方についても質問が及んだ。
議員辞職は「現状そこまでは考えてない」
すると「私が責任を取ることで何か皆さんの気持ちが収まるのであれば、どんな形であっても私はそれはやぶさかではございません。ただ、『なんだお前、罪を逃れたのか』みたいな言われ方をする事自体が、思いとしては“ずれている”ところがございます」と述べた。

記者:
責任の取り方でいうと重いもので議員辞職・離党などもあるが現状の考えは?
自民党・鶴保庸介参院予算委員長:
まだそこまでは考えていません。はい…現状ですよ。

立憲民主党の野田代表は「信じられない。失言というレベルじゃない。自身の出処進退は自身で判断すべき」と批判。

自民と連立を組む公明党の斉藤代表も「あの表現は甚だ不適切であり、能登半島の被災者の心に寄り添わない、軽視した発言だと思う」と批判した。
発言の波紋はこれで消えるのか、先行きが注目される。
(「イット!」7月9日放送より)