2025年7月20日に行われる参議院選挙の投票に向けて、選挙の争点を巡る岩手選挙区の各候補の考えについてお伝えします。
価格が高騰している「コメ」の政策についてです。
参院選岩手選挙区に立候補しているのは届け出順に、NHK党の新人で元会社員の吉田博信氏(59)、立憲民主党の現職・横澤高徳氏(53)、参政党の新人で会社員の及川泰輔氏(46)、自民党の元議員・平野達男氏(71)の4人です。
日本の食卓に欠かせない「コメ」。
2024年夏から全国的にコメ不足となり、価格が高騰しました。
農林水産省がまとめた全国のスーパーでのコメ5kg当たりの平均価格の推移は、5月18日までの1週間で税込み4285円と過去最高値に達しました。(※株KSP‐SPが提供するPOSデータに基づき農水省にて作成)
これは2024年の同じ時期の2倍以上にあたる金額です。
その後、新たに就任した小泉進次郎農林水産大臣が備蓄米の随意契約を打ち出し、価格は3672円(6月23~29日時点)まで下がりましたが、依然高い水準が続いています。
コメを巡っては、政府は2018年まで値崩れを防ぐため作付面積を制限し生産量を調整する「減反政策」を取っていました。
現在も転作に補助金を出すなど、生産調整の政策は事実上続いています。
野党は「こうした農政を主導してきた自民党政権が価格高騰を引き起こした」と追及する一方、石破茂首相は7月1日に「生産者が不安なく増産に取り組める新たなコメ政策に転換する」との考えを示しています。
生産者にとっても消費者にとっても重要な今後の「コメ政策」について、参院選岩手選挙区の各候補に考えを聞きました。
NHK党の吉田博信氏は「当面は農家への補助金給付が必要」とした上で、農業の法人化の推進を主張します。
N党・新 吉田博信氏(59)
「何らかの形で生産性を上げなければいけない。何らかの理由で隣の農家が廃業した場合、その廃業した農家の田んぼを引き継ぐ人がいるわけで、それに伴い生産性が上がる部分がある。自然に“大農営化”と言うのか、あるいは会社化・株式会社化して、会社経営の形を取っていけばいいのではないかと思う」
立憲民主党の横澤高徳氏は、民主党政権時代の戸別所得補償制度をバージョンアップし、農地維持のための補助金を農家に直接支払う制度を導入すると訴えます。
立憲・現 横澤高徳氏(53)
「消費者は安心・安全・安価なコメや食糧を入手したい。生産者は、少しでも高く生産を続けられる所得を確保していきたい。相反するものがある。新たな日本型の(農家への)直接支払制度を導入して、今起きている『高くて買えない』『安くなると生産を続けていけない』この相反するところを政策でしっかりと支えていく」
参政党の及川泰輔氏は、国がコメを一元的に買い入れて流通を管理していた食糧管理制度の復活も一つの手段と話します。
参政・新 及川泰輔氏(46)
「今コメ不足になっているのは確実に減反政策のつけが回ってきた。これは明かなことだと思う。食管法、昔(30年前まで)食糧管理法があったけれど、それに近いもの、もしくは復活させてコメを国が高い値段で農家から買い取り、それを安い値段で消費者に売ることをもう1回やっていかなければならない」
自民党の平野達男氏はコメの価格高騰の経緯の検証が重要とした上で、所得補償制度について改めて議論し整備すべきと主張します。
自民・元 平野達男氏(71)
「一番大きな問題は流通経費が異常に高騰していると思う。その原因を明らかにした上で改善すべきは改善しないと、また同じことが起きかねない。コメの生産者の販売価格というのは過去20年においても乱高下した。(コメの)価格が下がった場合の所得補償制度をもう一回議論して、整備すべきではないかと私は思う」
スピード感ある対応が求められるコメ政策。有権者がそれぞれの判断を示す投票日は7月20日です。