全国B型肝炎訴訟熊本弁護団の預り金9300万円あまりを横領した罪に問われている元弁護団長の裁判が熊本地裁で開かれ、検察が懲役8年を求刑しました。
8日は被告人質問も行われ、元弁護団長は「将来の報酬の前借りのつもりだった。返せるときに返そうと思っていた」と述べました。
求刑を受けたのは全国B型肝炎訴訟熊本弁護団の元弁護団長で現在、無職の内川 寛 被告(63)です。
起訴状などによりますと、内川被告は2018年から約5年間にわたり、弁護団長として会計管理をしていた弁護団の預金口座から170回にわたって現金を引き出し、合わせて9300万円あまりを自分の口座に入金するなどして横領した罪に問われています。
業務上横領内川被告は5月の初公判で4360万円あまりを横領した罪を認めていて、8日の公判で残り約5000万円分の罪についても「間違いありません」と認めました。
さらに、被告人質問で弁護人から返済の意思があったか聞かれた内川被告は「将来の報酬の前借りのつもりだった。返せるときに返そうと思っていた」と回答。
また、横領の目的については「住宅ローンや事務所の経費を支払うためだった」と述べ、反対尋問で検察から違法な手段を選んだ理由を問われると、「監査がなく、発覚しないんじゃないかなと思った」と答えました。
その後の論告で検察は「弁護団の信頼を裏切る悪質な犯行。資金がなく、弁償の見込みもない」として懲役8年を求刑。
一方、弁護人は「事件は全国に知られていて、社会的制裁を受けている」として刑の減軽を求めました。
最後に証言台で「申し訳ありませんでした」と述べた内川被告、判決は8月28日に言い渡される予定です。