2024年度、過去最大の46億円の赤字となった新潟県立病院事業。病院の再編が急務となる中、妙高市の城戸市長などが妙高高原地区唯一の医療機関である県立妙高病院の機能や規模の維持を県に要望した。一方、26年度から無床診療所となる方針の県立松代病院では地元説明会が開かれ、住民からは不安の声が聞かれた。
妙高市長「医療需要拡大の可能性ある」
6月30日、新潟県病院局の金井健一局長のもとを訪ねた妙高市の城戸陽二市長。手渡されたのは、県立妙高病院の適正な機能や規模の維持を求める要望書だ。

県立病院をめぐっては、厳しい経営状況が浮き彫りになっていて、24年度は過去最大の46億円の赤字に。収支改善をしなければ運転資金にあたる内部留保資金が25年度末にも枯渇する見通しとなっている。
県は、妙高高原地区唯一の医療機関である県立妙高病院についても25年度中に機能や規模の適正化に向けた見直し方針を打ち出すことにしている。

これに対し、城戸市長は「この地域では、リゾート開発の計画により国内・国外から多くの観光客が訪れ、医療需要が拡大する可能性がある」などとして今回の要望書を提出。現在8つある外来診療科目の維持や老朽化した設備の修繕などを求めた。
要望後に妙高市の城戸市長は「地域の実情については十分理解いただいたと認識している。市民の方の不安を少しでも払拭できるような取り組みをさせていただきたい」と話した。
県病院局は、要望書の内容を踏まえて今後の対応を検討するとしている。
松代病院“無床診療所”へ 住民からは不安の声
一方、十日町市では県立松代病院についての住民説明会が開かれた。県は、26年4月に松代病院を入院機能のない無床診療所とし、入院機能を県立十日町病院に集約する方針を示している。

説明会で金井局長は「患者数の減少はもちろんだが、県は厳しい財政状況にある。病院機能の見直しが、県政の重要かつ喫緊の課題としてクローズアップされている」と説明。
県立病院の経営悪化や入院患者の減少などを理由に病院機能や規模の適正化を進める県に対し、地域住民からは「冬の交通、この辺では今年、雪が最大4m以上積もった。本当に大変」「過疎地域だって命の重みは同じ。松代病院も県立のまま無床化なんてひどいこと。ぜひ考え直してほしい」など不安の声が上がった。

県は今回出された質問や意見を踏まえて十日町市などとも協議していく考えだが、住民の不満はくすぶっているのが現状だ。
参加者の一人は「今回はやり方があまりにも強引すぎて、今回は説明会ではなくて報告会のよう」と不満を漏らす。
県は9月ごろに改めて説明会を開き、診療所化の具体的な内容や日程を提示。12月県議会に松代病院を診療所とする条例改正案を提出する予定だ。
(NST新潟総合テレビ)