連日の猛暑で、養鶏場のニワトリも夏バテし、産卵数が減少している。値段の高騰はもとより、タマゴ自体にも異変が現れている。

「軟卵」など猛暑でタマゴに異常

福岡・飯塚市にある養鶏場『あかね農場』。約7000羽のニワトリを平飼いで育てているが、どのニワトリも口をぽっかりと開けて、口呼吸している。

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「トリは、人間と違って汗腺がなくて汗をかけない。その上、羽毛で覆われているので、呼吸をたくさんして、熱を少しでも外に逃がしている」とあかね農場の藤井大地さんは話す。

ニワトリも早めに訪れた真夏の暑さで、既に“夏バテ”の様子だ。産卵率も例年に比べ10%ほど減っているうえに、産卵したタマゴにも異変が起きているという。

指先で押すと、表面が凹んでしまうほど柔らかい「軟卵」と呼ばれるタマゴ。

殻が薄いままニワトリが産卵したもので、太陽にかざすと黄身が透けて見えるものもある。

「夏バテで、ニワトリが、エサを食べたり、水を飲んだりする摂取量が少なくなり、殻の薄い、栄養が伝わりにくいタマゴが産まれてしまう」とあかね農場の山﨑登希代農場長は、軟卵ができる理由を説明する。

タマゴの異変は、他にもある。通常のサイズと比べると、ウズラのタマゴほどの小さいものや、「赤卵」にはほど遠い、殻の色の薄いタマゴなど、売り物にならず廃棄せざるを得ないタマゴが増えているというのだ。

猛暑で“エッグショック”長期化も

こうした状況を防ごうと、農場では、暑さ対策を例年より1カ月ほど早めて実施している。業務用の扇風機や常に冷たい水を与えるなどの管理をしているが、連日の猛暑に悩まされている。

「例年だったら8月から10月ぐらいまで2~3カ月ぐらいが、夏場のダメージを受ける期間という認識だが、7月冒頭からダメージが始まったということもあり、世の中がどんどん玉子不足になっていくというのは、肌で感じている」と危機感を滲ませる山﨑農場長。予想どおり、玉子の価格高騰が続いている。

『JA全農たまご』によると、2025年の福岡のMサイズ1キロあたりの卸売価格は、5月・6月は、340円で、“エッグショック”と呼ばれた、2023年の最高値、345円に迫っている。一方、7月を見てみると、2023年は、319円まで下がっていたが、2025年は、340円台で推移している。

今後の価格について、生産者であるあかね農場では、「夏が長いので、価格の社会全体に対してのダメージは、大きくなるのではないか」と価格高騰の長期化を不安視している。

長年、“食卓の優等生”と言われるタマゴ。気温がある程度下がる頃までは価格の高止まりが続きそうだ。

(テレビ西日本)

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