鹿児島・霧島市の新燃岳が7年ぶりに噴火し、火山灰が街を覆うなど大きな影響が出ている。登山道は閉鎖され、観光地や温泉街では客足が激減。農業や宿泊業にも打撃が広がっている。気象庁は火口周辺3kmで噴石に警戒を呼びかけている。
火山灰が街覆い…視界が真っ白に
トカラ列島で地震が相次ぐ中、霧島連山の新燃岳で7年ぶりに噴火が発生している。宮崎県と鹿児島県にまたがる火山だ。

2日午後2時頃、麓の街の鹿児島・霧島市は火山灰で白く染まり、走行中の車の視界は遮られていた。
撮影者:
見えない前が車が走ってたらこんな(火山灰が)巻き上がるから。
イット!は、普段なら多くの観光客で賑わっている街を緊急取材した。

連続噴火が始まって11日目の7月7日、新燃岳には噴火警戒レベル3の入山規制が敷かれている。取材班が6日、向かったのは鹿児島・霧島市にある新燃岳の登山基地「高千穂河原」だ。この週末、登山客の姿はなかった。
取材班:
砂埃ではなくて、すべて灰が舞っている状態になっています。目を開けているのもやっとの感じになっています。
まるで雪のように舞う火山灰。大量に積もった灰が風で巻き上がると、視界は辺り一面真っ白になり、周囲の草や木は勿論、看板までが灰まみれだ。
真っ白な灰が積もった駐車場は、普段なら見える白線が全く見えない状態だ。登山客も、灰の多さを実感していた。

取材班:
駐車場は、元々白い?
高千穂河原ルートの登山客:
これ灰です。灰が積もっちゃって。先週はこんなふうに全然なっていなかった。登山道もずっと灰が積もっていてすごかった。上まで。
噴火の影響により、新燃岳の登山道は閉鎖されている。
取材班:
あちらの車は通行止めを知り、引き返していきました。
通行止めを知らずに来た観光客:
こっちから行けると思ったけど、ダメだった。
異変は人気観光スポット、鹿児島・霧島市「丸尾滝」にも及んでいる。
取材班:
本来の青色とは変わり、灰色になってしまっています。

エメラルドグリーンに輝いているはずの滝の水は、火山灰で灰色に変色している。新燃岳の降灰に伴い、川から水を引く田んぼでは、用水路を一時的に止める措置を余儀なくされた。
取材班:
灰色のセメントを溶かしたような水の流れを見たとき、どう思いました?
森正幸前田水利組合長:
非常にショックで。やっと田植えが済んで農家は水が一番欲しい時期で、これがどれぐらい続くのだろうと心配した。
温泉街では閑古鳥…露天風呂も休止に
新燃岳の噴火は、観光面で大きな打撃となっている。

お土産物店などが軒を連ねる霧島市・霧島温泉市場では、普段は行列ができる人気の足湯に、観光客の姿は見られない。さらに市場内の飲食店はというと、書き入れ時のランチタイムに閑古鳥が鳴いていた。
取材班:
お客さんは?
とろろ亭・北田代淳子店主:
来ない来ない。お客さんが来ないから大変。ここまでの影響はなかったんだけど、いつもはね。今回の噴火で、すごく影響を受けている。
霧島市は、温泉地として知られている。温泉旅館「おやど花みずき」では、火山灰を洗い流すなどの作業に追われていた。また先週、長時間に渡って降り続けた影響で露天風呂を休止した。

おやど花みずき・福留啓介代表:
前回の噴火と比べると灰の細かさが違う。(今回は)粒子がすごく細かくてチョークの粉みたい。
今回の火山灰は粒子が細かく、洗い落とすのに通常の倍以上の時間が掛かるという。
この旅館では新燃岳が噴火して以降、キャンセルが50件近くにまで増加した。それでも噴火が続く中、できる限り、普段と変わらないサービスで客を受け入れていく考えだという。
おやど花みずき・福留啓介代表:
いつ終わるのかという不安はある。私たちは(新燃岳の)恩恵を受けて営業しているので、ずっと付き合っていかないといけない。ただその時やれることをやる。

気象庁は、新燃岳の火山活動は活発な状態で経過しているとして、火口からおおむね3kmの範囲では、大きな噴石などに警戒するよう注意を呼び掛けている。
(「イット!」7月7日放送より)