過疎化で廃校になった校舎が近年、インバウンド客や留学生の学校体験の場として再活用されています。
地域の活性化や新たな観光資源として注目を浴びるこの取り組みを取材しました。
東京から車で約1時間。
千葉・君津市にある、かつて中学校だった廃校舎。
そこに欧米やアジアなど、世界各国から大勢の留学生が集まりました。
彼らの目的は、「君ノ高校」というプログラムへの参加。
日本の高校生になりきって学校生活を体験するものです。
君ノ高校校長・古峰篤さん:
(Q. 「君ノ高校」の特徴)過疎化が進む地域に観光の方、外国の方に来てもらえるような場所を作りたくて。廃校を使っていることで、リアルさと没入感を演出している。
最初の授業は書道。
筆遣いに苦戦しながらも真剣な表情で取り組みます。
イギリスからの留学生・ネハルさん:
難しかった、筆の運びが。
すると、突然の非常ベルに防災頭巾をかぶる留学生たち。
避難訓練も日本の学校ならではの体験です。
給食の時間では、かっぽう着を着て配膳に挑戦。
この日の献立は、地元の食材を使ったカレーライスに、昔懐かしい揚げパンなど。
机を並べ、みんなで給食を食べました。
午後はジャージに着替えて運動会。
玉入れや綱引きで大盛り上がり。
さらには不良グループ役の生徒たちが乱入する、昔ながらの学園ドラマ風の演出もありました。
そして、一人一人に渡された卒業証書。
たった1日でも、忘れられない日本の高校生活となりました。
参加した留学生からは「楽しかったです」「日本の給食も食べたし、運動会でいろいろな体験をして本当に面白かった」という声が聞かれました。
このプログラムは、観光では味わえない日本文化の理解につながると、留学生を受け入れる大学側も期待を寄せています。
法政大学 グローバル教育センター事務部 国際交流課主任・松田一重さん:
観光や旅行では体験できないユニークな体験をしてもらいたいと。普段の日本人が生活して経験していることを体験することで、日本を理解することにつながるのではないかと考えている。
注目されるこの取り組み。
地域活性化にもつながる新たな可能性が広がっています。