国税庁が7月1日、路線価を発表した。路線価とは、相続税などの基準となる土地の価格のことだが、注目は下町の風情と繁華街の賑わいが両立する東京・足立区の北千住だった。「路線価が急上昇!なぜ北千住?ソレってどうなの」をテーマにお届けするーー。
北千住の「路線価」は10年前から約3倍に上昇
路線価は、国税庁が毎年発表する、道路に面した土地1㎡当たりの評価額で、全国1位となったのは、2025年も東京・銀座の鳩居堂前にある銀座中央通りだった。

東京・銀座5丁目の1平方メートルあたりの土地の価格は、なんと4808万円で、40年連続で日本一という。

2位は東京・渋谷区の渋谷駅側通りと呼ばれる場所で1㎡当たり3440万円で、3位は新宿の新宿通りで1㎡当たり3256万円だった。

上昇率の全国トップは、有名スキーリゾートを抱える長野県白馬村の32.4%で、続いて北海道富良野市北の峰町が30.2%となっている。

全国3番目の上昇率になったのは下町・浅草。
このランキングのカギになっているのはインバウンド、外国人観光客だ。
浅草の雷門通りは29.0%上昇し、1㎡当たりの価格は1年で448万円から578万円となり130万円高くなった。
北千住の良さは「全部揃うので遠く行かなくてもここで済む」
インバウンドでにぎわう有名観光地が上昇率の上位にランクインする中、イット!が注目したのは上昇率5位、東京都足立区の北千住。

2024年に比べ26%も上昇し、10年前と比較すると、約3倍になっている。
理由は一体何なのか、北千住を取材すると…。
記者リポート:
北千住駅前には大きな商業施設や奥には長い商店街があり、かなり栄えています。

駅前では商業ビルと昔ながらの商店街が共存し、近くには高層マンションなど住宅街が広がる。

駅のすぐ側を流れる荒川は、絶好の散歩スポットで、繁華街と下町の両方の雰囲気が感じられる。

街の皆さんに「北千住って、どんな街ですか?」と聞いてみた。
60代:
全部揃うのであちこち遠く行かなくてもここで済む。
安くて新しい野菜や、土産で持っていくような高級な物。お菓子など全部揃っちゃう。
JRもあるし、TX(つくばエクスプレス)、(東京)メトロ。色々あるのですごく便利。
70代:
大学ができて人が増えて若い人が増えた。
だから年寄りも若い人も老若男女、なんとなくお付き合いができる場所。
他の街行ってもそれはない。店に行けばみんないる。年取ってる人もいるし若い人もいる。それができるような町になってる。
取材をしていると、ちょうど今日から北千住に住むという人に出会った。
ーー決め手は何だったんですか?
今日、引っ越ししたばかり。新しい家をこれから見に行く。鍵もらったばかり。
アクセスの良さと、飲み屋が多い。ご飯には困らないかな。
ネクスト北千住は「赤羽駅周辺や城東エリアの錦糸町や小岩周辺など」
上昇率の上位を観光地が占める中で、北千住の路線価がアップした理由について、専門家はこう指摘する。

「東京カンテイ」高橋雅之上席主任研究員:
JRや私鉄等々が各線乗り入れたターミナル駅。都心へのアクセスも良好だし近くに大学のキャンパス等もあり都心への通勤者以外にも学生も住んでいる町。
10年とか5年前くらいから北千住界隈は「穴場な駅」という感じでピックアップされたエリア。
都心でのマンションの住宅価格の高騰を受け、予算に余裕がない方がより買いやすいエリアと価格と利便性のバランスが取れたところに着目して、人気を博していった。
では今後、路線価が上昇しそうな「ネクスト・北千住」はどこなのかーー。
「東京カンテイ」高橋雅之上席主任研究員:
具体的には城北エリアの赤羽駅周辺や城東エリアの錦糸町や小岩周辺などは今回も高い上昇率を示した。来年(2026年)以降さらに上回ってくる可能性は高いと見ている。
都内の人気エリアで地価や賃貸料がグングン上がり続ける中、こうした穴場が今後も注目を集めそうだ。
(「イット!」 7月1日放送)