福島県内の路線価が公表され、県内都市部における格差の拡大が明らかになった。郡山市の路線価が30年以上県内トップの座を維持する一方、いわき市が急成長し、会津若松市では下落傾向が続いている。この対照的な動きの背景には何があるのか。

県内トップ「郡山駅前通り」

土地の相続税や贈与税を算出する基準になる「路線価」が7月1日、公表された。概ね同じ価値の路線ごとに決まる土地の価格、福島県内では都市部での格差がますます拡大している。

郡山駅前通り1平方メートルあたり33万円
郡山駅前通り1平方メートルあたり33万円
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福島県内の路線価トップの座を守り続けているのは郡山市の「郡山駅前通り」だ。(※1平方メートルあたり33万円) 東京の銀座中央通り(※1平方メートルあたり4808万円)と比較すると150分の1ほどではあるが、30年以上にわたり県内最高値を維持している。郡山市は福島県のほぼ中央に位置し、交通の要所として発展してきた背景がある。

上昇の波 いわき市

一方で、注目すべきは成長著しいいわき市の動向だ。特に「いわき駅前大通り」は県内で最も大きく上昇。(※1平方メートルあたり15万5000円 昨年比6.9%上昇)いわき市平のJRいわき駅前には新しいホテルが建設されるなどにぎわいを見せている。また2025年4月からは福島県内初の歩行者利便増進道路「ほこみち」に指定され、歩道での飲食店営業や遊び場設置の規制が緩和された。

福島県いわき市平で行われている「ほこみち」
福島県いわき市平で行われている「ほこみち」

家族代々、駅前で店を営んできた北林由布子さんは「今までは歩って通過するだけの人達が多かったが、ほこみちで座れるものができたことで、滞在してくださる方々の姿を良く見るようになった。そういう意味でも賑わいというのが、少しずつ生まれている感じはします」と変化を実感している。

下落の波 会津若松市

県中地区やいわき市が好調な一方で、会津若松市では異なる傾向が見られる。会津若松市の「神明通り」は5年連続で路線価が下落している。(※1平方メートルあたり5万4000円 昨年比1.8%下落)平日正午を過ぎても人通りはあるものの、店舗を利用する人は少なく、シャッターが下りた店舗や空き地が目立つ。

福島県会津若松市 神明通り
福島県会津若松市 神明通り

神明通り商店街振興組合の堂平義忠理事長は「中心市街地というのは、その町で最初に栄えた所ですから、建物でもなんでも古い。そこの部分を完全に解消しない限り、路線価がぐっとあがるとか、そういうのは期待できない」と課題を指摘する。
築30年以上にもなると、安全面から貸し出せないものも多く、新たな店舗の進出をはばむ。

若い力に期待

こうした課題がある中、会津若松市では若い世代の発想力に期待が寄せられている。約2週間前、商店街の若者が中心となって開催したパンのイベントには長い行列ができた。
イベントスペースなどを提供するSHAREBASE Aizuの高橋大介さんは「これからもイベントを開催する。そういったイベントとかあったら、もっと盛り上がっていくのではないか」と期待を寄せる。

商店街で行われたイベント 通りに行列が
商店街で行われたイベント 通りに行列が

路線価トップの郡山市、上昇率トップのいわき市、5年連続下落の会津若松市、顕在化した「都市部での二極化」。大きな経済的うねりだけでなく、住民発信のまちづくりも市街地活性化の新たな力となることが期待されている。

(福島テレビ)

福島テレビ
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