札幌市西区琴似で約半世紀にわたり愛されてきた商業施設の入る建物が、6月30日閉館の日を迎えた。
新旧が混在する琴似エリアが目指す今後の姿とは?
約半世紀の歴史に幕
JR琴似駅前の一等地に構える商業施設「5588KOTONI」。
竣工から49年、半世紀にわたり地域に愛されてきたランドマークともいえる建物が6月30日午後8時に閉店した。

「琴似に出てきたらここに必ず入る。便利だった、ここからバスに乗って帰れるから」(70代)
「学生の時は友達とここのカラオケ行っていた。最近はあんまり…」(20代)

1976年 建物はイトーヨーカドー琴似店として開業
地下鉄東西線「琴似-白石間」が開通した1976年。
建物はイトーヨーカドー琴似店として開業した。
「昔のイトーヨーカドーはどこに何があるか記憶していたから、足りないものがあるとすぐ買いに行っていた」(60代)

JRの高架化や隣にヨーカドーエスパ店のオープンを経て建物は2004年に「5588KOTONI」に。
閉店まで4日となった6月26日はすでに移転や閉店したテナントも多く、寂しい雰囲気となっていた。

「(Q.移転の準備?)そうなんです、移転します。(建物を)直してるんだけど直しても追いつかないという。大変お世話になりましたというかんじです」(瑞朋 向平毅社長)
建物を所有する会社によると閉店は老朽化が理由だということだ。

前向きな“再開発”の動き
地域の変遷を見てきた琴似商店街組合理事の根本良太さんは寂しさを覚えつつも前向きにとらえている。
「こちらは去年2月に新しくできた賃貸マンション兼テナントが入る店。もともと木造2階建の居酒屋やクリーニング店、それらを再開発したもの」(琴似商店街組合 根本良太理事)

地下鉄の開通をきっかけにより都市化が進んだ琴似だが、約半世紀が経ち、建物の建て替え時期を迎えている。

札幌市の新たなまちづくり計画―にぎわいの創出を目指す
札幌市は琴似本通り地区計画を作成し、歩道沿いに広場を整備したり建物の1・2階部分を店舗にした上でピロティ部分を設けたりするなどし、にぎわいの創出を目指している。
「上層はマンションだが2階までは店舗と聞いている。そしてここ(1階)が引っ込み、街の人が休めるような(空間になる)」

今後建物は解体され、跡地の活用については未定だが、住民が求めるものは…
「喫茶店入ろうとしても探すので(跡地には)カフェがほしい」(40代)

「また同じような商業施設ができると助かる。人がまた集まるので」(琴似のラーメン店主)
一つの区切りを迎えながら、琴似は新たなにぎわい作りを目指す。
