汗の臭いが気になる季節。近頃、自分の体臭が気になる働き盛りの皆さん、もしかしたら、それは「ミドル脂臭」かもしれません。
病気ではないのですが、主に30代から40代の男性によく見られ、一般的な汗の臭いとも加齢臭とも違う匂いと言われています。その特徴と対策について取材しました。
◆早ければ30代から…ミドル脂臭
ふとした瞬間、自分の臭いが気になる…早ければ働き盛りの30代から現れる、ある臭いは“ミドル脂臭”の可能性があります。
今回はこの臭いの正体や対策について、くわばら皮膚科クリニックの桑原慎治医師に話を聞きました。
ミドル脂臭について桑原慎治医師は「30歳、40歳から出てくる体臭のことで、主に臭う場所としては後頭部とか耳の後ろから出てくる臭いで、基本的にはチーズやヨーグルトといった若干、酸っぱい臭いといわれている」
では、なぜ働き盛りの30代~40代からミドル脂臭が発生するのか。ポイントは汗と皮脂、そして年齢による変化、そのすべてが複雑に混ざり合うのが40代だからです。
一言に体臭といっても種類があります。20代で最も強くなるのが酸っぱい臭いが特徴の汗臭です。
加齢臭は40代から発生し、50代以降から強くなります。
そしてこの2つとは異なる〈第3の臭い〉といわれるミドル脂臭は加齢とともに増加。40歳を中心に臭い指数がピークを迎えます。
◆ミドル脂臭は後頭部から発生
ミドル脂臭は、汗に含まれる乳酸が表皮ブドウ球菌などの常在菌によって分解されることで発生する「ジアセチル」という成分が原因です。
「ジアセチル」自体でも独特なニオイを放ちますが、さらに皮脂に含まれる「中鎖脂肪酸」と混ざることでさらに臭いを放ちます。
桑原医師は対策の難しさをこう説明します。「ジアセチルは少量でも、ものすごい臭いがするといわれていて、ミドル脂臭の場合は(発生する場所が)後頭部なので、防御できない」
◆あなたは大丈夫?セルフチェック
―セルフチェック―
・頭皮がベタつく
・枕カバーに色がつく、臭いと指摘される
・肥満気味である
・肉をよく食べる
・運動習慣がない
・ストレスが多い
当てはまる項目があれば、ミドル脂臭が出ているかもしれません。
では、どのように対策が必要なのか。桑原医師は次の事を挙げます。
「こまめに汗をふいて清潔にしておくことが重要。特に後頭部のあたり。運動不足も腸内細菌が活性化していかないので、動くことは重要」
そのほか、バランスの良い食生活を目指し、肉中心の脂っぽい食事やニンニクやキムチなどの刺激物は控えた方が良いといいます。
そもそも、昨今の状況について桑原医師は「昔は公害のほかに建築材(ホルムアルデヒドとか)の臭いがあふれていたがそれがどんどん改善され、空気清浄機の登場もあり、クリーンな環境になってきて、人間の臭いが気になるようになっている。さらに、コロナでマスクをしてたので、マスクをとった時に体臭が目立つようになったっていうのが、今の環境なのかなと思う」と話します。
自分の臭いを知るには枕カバーが一番ヒントになります。朝起きて、寝ている部屋とは別の空気をしばらく吸い、鼻を寝室や寝ている場所とは違うにおいに慣れさせた後で枕カバーの臭いを嗅いで判断して下さい。
運動や食生活の改善のほか、ミドル脂臭を研究している男性化粧品メーカー「マンダム」によりますと▼シャンプーは2度洗いする▼髪ではなく頭皮を隙間なくなぞる感覚で指の腹を使って洗う(特に後頭部を念入りに)▼濡れた髪は臭いの元になるので、ドライヤーでしっかり乾かす、というのも大切だということです。
誰にでも年齢と共に体の変化はあるもので、ミドル脂臭もその一つ。気付いた時にできることから始め、無理のないセルフケアで予防し、自分らしく過ごせることを大切にしましょう。