「小林りん」という1人の女性の名前を私がよく耳にするようになったのは、今から10年前くらいでしょうか。

どうやら「軽井沢に世界各国から生徒を集めて次世代のリーダーを育成するインターナショナルスクールを作る」という壮大なプロジェクトが動いていて、そこには驚く程たくさんの人々がボランティアとして関わっている、それもこれもプロジェクトリーダーの小林りんさんの人を巻き込む力が圧巻なのだ…と、人の口にのぼる話も大体一致しているのです。

小林りんさん
この記事の画像(13枚)

それが私とほぼ同世代の、これまで教育事業とは無縁だった女性の手によるものと知って、気にならないはずがありません。

ISAK(インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢、2017年よりユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパンへ改名)が、波乱万丈な道のりを経て開校したと聞いたのが2014年。卒業生を送り出し、その進路がイェール大学やブラウン大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスなど、名だたる名門大学に進学している一方、起業をする生徒、すぐに進学せずにボランティアや世界を旅するといった“ギャップイヤー”を過ごす生徒など、画一的な価値観ではなく「自分自身で考えて決定する」ことが奨励されているのが伺えます。

それもきっと「多様性」を重んじる学校のあり方そのものなのでしょう。

今年度は世界84カ国から195名の生徒が在籍(※写真はコロナ以前の撮影。写真提供:ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン)

今回、念願叶って小林りんさんにインタビューさせていただいた1時間。

新しい学校を創立するモチベーションはどこから湧いてきたのか。
そして、当時まだ30代半ばだった小林さんの「巻き込み力」なるリーダーシップの秘訣とは。

1時間に及ぶ話はどこを取っても論旨明快で、かといって決して頭でっかちではない「想い」に溢れています。自分自身の心の声を聞き、考え、迷い、決断と選択を積み重ねてきた道のりの中で、決して借り物ではない小林さん自身から紡ぎ出されれる言葉の数々。

持てる能力や環境は随分と違いますが、今の自分が置かれた場所をより良くすることはできるのでは?というヒントに満ちています。

前編は、学校設立に至る経緯からリーダーシップ論を、後編はかつて夫から「母親として今のあなたはまずい」と突きつけられて軌道修正した、激務をしながら2児を育てるワークライフバランスについて紹介します。

なぜ「チェンジメーカー育成=学校を作ろう!」と思い至ったのか

佐々木:
小林さんがISAK、軽井沢にインターナショナルスクールを設立される理念として、「社会を変革するチェンジメーカーを育てる」ということが掲げられています。なぜ革命を起こせるリーダーを育てる上で「学校」を作ろうと思われたのでしょう。それまでの日本の教育に問題点を感じていらっしゃいましたか。

小林さん:
いきなり学校を作りたい!と思ったわけではなくて、高校時代から何十年もかけて夢にたどり着いたというのが正確なところだと思うんです。ですがそれ以前に高校1年生の時、減点主義という文化、苦手なものを克服して全体的にまんべんなくできなければいい大学に行けないというも指導に違和感を覚えて、学校を辞めてしまったんですよ。

佐々木:
思い切りましたね(笑)。

小林さんの思い切りの良さに驚く佐々木恭子アナウンサー

小林さん:
実際はそんなに短期間で決断したわけではなかったですけどね(笑)。人は凸凹があって当たり前、それなのに良いところや得意なことを伸ばすのではなく、苦手なものを指摘されるのは何でなのだろうと思ったのが15の時で、そこから奨学金をいただいて16で海外渡航したのが大きな転機になりました。

佐々木:
どんな気づきがあったんですか。

小林さん:
私は多摩ニュータウンで生まれて、自分が特別恵まれた環境にいると思ったことはなかったんです。でも、私が行かせていただいたカナダの学校が全員奨学金で進学していた学校だったんですね。そうすると、普通であれば海外に留学することができない家庭環境の子がいっぱい集まって来ていて、そのうちのメキシコ人の子と友達になり、夏休みにメキシコに訪ねて行ったんです。

そこで見た現実は圧倒的な世界の格差・貧困で、どこで生まれたかで人の人生がこんなに変わってしまうのかと目の当たりにしたわけです。それまで日本の教育に違和感があったのだけれど、でも望めば学校へいけるということそのものが、世界の中では恵まれた数パーセントの環境の話だったのかと愕然として、たとえ世界のどこで生まれても教育が受けられ、機会は均等なものとして生きられるようにならないかと強烈に感じたんですね。

佐々木:
それが「教育」を志す原体験としてあるのですね。

小林さん:
はい。紆余曲折ありながら「教育」というものを通して私に何ができるんだろうと悩みながら、前職のUNICEFで仕事をしたのがもうひとつ大きな転機になりました。

佐々木:
何があったのですか?

小林さん:
UNICEFではフィリピンに駐在しました。ストリートチルドレンと呼ばれる最も生活が困難な環境にいる子どもたちに教育の機会を持ってもらえたらと思っていたのですが、私たちがサポートできるのはせいぜい8000人くらい。でも、支援が必要な母数は30万人も40万人もいる。

貧富の格差に加え、渦巻く汚職も目の当たりにしました。社会的な階層が構造的に定着してしまう深い社会の闇があり、そこを根本的に変えていかない限り支援もいたちごっこになってしまうな、と。少しでも多くの人に教育を届けることと、社会を変革するチェンジメーカー、政治家だけでなく様々な分野で変化を起こせる人を育てる両輪が必要だなと感じたんです。

そんな折に「本当の意味でのダイバーシティーを内包した社会のリーダーを育てる学校を作りませんか」と谷家衛氏(あすかアセットマネジメント株式会社創業者で、ISAK発起人代表として参加)から話があり、それこそ私がずっとやりたかったことだと、「学校」という2文字が明確になりました。

「社会変革のリーダーを育てる学校づくりへの道が見えた」と小林さん

高校時代にメキシコで目にした原体験をどう仕事として形にしていいかわからないまま、小林さんは大学卒業後、外資系投資銀行に就職、ベンチャーのスタートアップ企業、国際協力銀行、UNICEFと4つの職歴を重ねています。

谷家氏との出会いでようやく「私の人生を賭けてしたいことはこれだ!」と学校作りに立ち上がるも、時は2008年リーマンショック後。初期資金として予定されていた20億円は200万円に、資金繰りを含め最初の青写真はほぼ白紙からのスタートになり、学校をオープンさせるまでは周りのスタッフも手弁当で山あり谷ありの連続だったそう。

そして、ようやく資金の1割に目処が立ち、長い長いトンネルの先に光が見えてきたと思っていた矢先に起きた、東日本大震災。さらに予定を延期し、結果、開校までの準備期間は6年を要します。

学校の開校のために必要だった10億円超の資金は、結局100名の「ファウンダー」と呼ばれる個人の慈善家の皆さんのおかげで集まったそうです。100名が集まるまでに小林さんがご寄付の相談に伺った人の数は、なんと2000名を超えていたといいます。

しかもその間、小林さんはご家族の理解と支えを得ながら、無報酬で働き続けました。どうやって心折れずに困難を乗り越えていったのでしょう?苦労話を引き出そうとするも、小林さんが豪快に笑って語り出すのは意外な言葉だったのです。

リーダーに必要な3つの力「共感力・感謝力・楽観力」

佐々木:
思い立ったのが2008年の頃で実際の開校が2014年、設立までには山あり谷ありだったそうで…。設立までのプロセスで、何が一番大変でした?どんな制度や仕組みに壁を感じました。

小林さん:
そういう意味では意外にも“壁はなかった”んですよ。岩盤規制を壊す!といった感覚ではなかったんですね。私たちの学校の入学は9月ですし、授業は全部英語。生徒の8割は外国人で、先生はほぼ外国人。そういった学校を日本の教育法第一条校(※)として認めてもられるように動いていたら、多くの行政官の皆さんがこういうやり方はどうか?他にはこんな手もあるよと、法律的なアプローチの方法を知恵を出して一緒に考えてくださったんですよね。

(※)いわゆる日本の一般的な学校の総称。卒業時には日本の高校卒業資格が得られる。インターナショナルスクールとして一条校として認可されているのはISAKを含め全国で2校のみ

2014年に軽井沢に開校したISAK。自然に囲まれ、すぐそばには浅間山も(写真提供:ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン)

佐々木:
規制が立ちはだかるというより、規制を取り払うために周りが協力をしてくれた、と。まさに伺いたいのはその点なんです。リーダーが思い描く壮大なヴィジョンに、周りの人をワクワクした気持ちで巻き込むためには何が必要なのでしょうか。

小林さん:
それは3つあると考えています。ひとつは「共感力」。ヴィジョンってつい頭で考えがちですよね。データの裏付けももちろん大事なんですけど、新しい事業を起こすって、これでもかこれでもか〜って困難がやってくる。底を打った時に立ち上がれるか立ち上がれないかで、成否が分かれていくと思うのです。

小林さん:
その時諦めないでいられるのは、たぶん頭で考えることではなくて、「どうしても実現させたい」と自分が突き動かされる原体験があるかどうか、リーダーが腹落ちしていることが大事だと思います。行政の皆さんもそういう学校作りを応援したいと共鳴して知恵をくださったし、今いる教職員たちも自分自身の幼少期からダイバーシティーを考える経験を経て、ISAKの理念に共感して世界中から集まってきてくれています。

佐々木:
関わる人の心の深いところにヴィジョンが浸透しているのですね。

小林さん:
2つ目は「感謝力」かな、と。2008年から始めて学校の許認可がおりる2012年までは全員手弁当で、何十人ものボランティア集団だったんですよ。みんな基本的に本業があったり、子育て中だったり。ミーティングが流れたり子どもの体調不良で来られない人がいたり、正直私が10人欲しいと思った時期もあったんですけど(笑)それは違うなと思い直して。

パートタイムで参加してくれる人や週に数時間の参加の人も全員「あなたがいるから前に進んでいる」「あなたのおかげでプロジェクトが成り立っている」と言葉にして感謝を伝えるようにしたんですよね。関わっている人皆が、当事者意識をもって参加してくれている組織だなと思いますね。

佐々木:
皆に居場所があると、プロジェクトに対する貢献感も高まりますね。

小林さん:
3つ目は「楽観力」です。これって元来の性格じゃないの?と思われがちなんですが、実は培っていける力だと思っています。仏哲学者のアランの『幸福論』に「悲観は気分に属するけれど楽観は意志に属する」という言葉があるんですが、まさしくその通りだなと。プロジェクトを率いるリーダーが、様々な困難が降りかかるたびにわーっと混乱すると周りは不安になりますよね。でも、リーダーは自分が当事者だから誰のせいにも何のせいにもできないわけです。

法律にこう書いてあるとなれば特例がないか探してみようとか、お金がないならどうやって集めるのか考えるしかない。自分に決定権があって率いている以上は、全ての悲観材料も何とかできるものに変えていくしかないんですよね。

小林さん自らが3つの力を実践し、多くの人の協力を得てきた

実際に、小林さんは軽井沢の広大な土地の取得交渉から一条校認定、困難を究めた寄付金集めに至るまで、「あなたが思い描く学校がこれからの日本に必要だと思う」と、関わる人たちをプロジェクトの応援団に変えていきます。

語られる理想とは、「社会を変革するリーダーを育てる」ために(1)問いを立てる力(2)多様性を活かす力(3)困難に挑む力、という3つの柱。

ISAKが特筆すべきなのは、特に(2)の“真の多様性”を目指しているところです。世界にあるインターナショナルスクールが、学費の高さからどうしてもその国の富裕層の子どもたちしか通えないものになっている現状を打開するため、ふるさと納税の仕組みなどを活用して生徒の家庭の経済的環境に応じて奨学金援助を行っており(※)、あらゆる人種・貧富の格差や社会的政治的立場を超越して生徒たちに門戸を開いているのです。

(※)2020年度は奨学金支援総額約4億5600万円、全生徒の70%に給付。2020年現在、84カ国195人が全寮制で学んでいる(ただし、コロナ禍により日本に入国できない生徒はオンライン授業)。

念願叶って実現した開校後の生徒たちの様子を伺うと、ロジカルな語り口から一転、多様な個性がぶつかって日々起きることが楽しくて仕方ないかのように、ユーモラスな語り口へ。

多様性の本質とは

佐々木:
さて、実際に「多様性」を体現された学校を運営される中で、多様性の価値はどこにあると感じますか。集団に多様性があると何が生まれてくるのでしょうか。

小林さん:
例えば、2014年の米大統領選やブレグジットなどを見ても、同じ国の中でも持てる者と持たざる者、立場が全く違うことを理解していたらああいったことは起きなかったかもしれない。複雑化する社会において、表面的にわかりやすい多様性が問われているのではなく、同じように見えるものの中にも多様な価値観が分かれてきている時代だと思うんです。それによって分断が起こっている現状で、“自分の当たり前が当たり前じゃない”価値がわかっていることのパワーは、ものすごく大きいと思うんですよね。

佐々木:
具体的には、学校ではどのようなことが起きるのですか?

小林さん:
いろいろな国籍のいろいろな背景の生徒たちが混ざることによって年度初めはカオスになります(笑)。例えば、あるプロジェクトを進めていくのに、まず時間の観念が違うことに気づく。時間通りに来る子もいれば、遅れる子も来ない子もいる(笑)。

カオスな空間も次第に強力なチームに

小林さん:
でも段々と進めて行く中で、彼は時間には適当だけどクリエイティブだよねとか、彼女はいい加減なところもあるけど人をまとめるのはうまいとか、あの人が参加してくれると全く違う発想を提示してくれるとか、全く違う立場と特徴を持って集まるからこそ、一緒になると強いチームになれるぞって体感されていくんですね。

それを若いうちに経験している子たちは、大人になって社会に出ても同じ気持ちで組織を運営できると思います。自分が見えていない視点をチームの他のメンバーが見せてくれるパワーに気づいていけるのです。

佐々木:
伺っていると、多様性は何も国籍の違いとか属性の違いだけではないということですか?

小林さん:
そうですね。一番根底にあるのは「自分と全く違う考え方を持った相手に出会った時、本当に相手の立場に立てるかどうか」だと思います。本来は日本の公立の学校にも多様性はあるんですが、どうしても同調圧力の強い社会ゆえに規律を重んじ、教育のあり方も同じ手順を教えることになりがちなのかもしれません。

国際政治の授業風景。活発なディスカッションをする生徒たち(写真提供:ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン)

小林さん:
例えば理科の実験を例にとると、日本の学校では同じキットを使って同じ見本で手順を守って実験するよう指導していく。ISAKでは理科の実験の前に理論は習っていて、実験室にあるものは何でも自由に使っていいから自分でその理論を証明してみようという授業なんですね。そうすると、色々なアプローチがあることも知れば、失敗する子もいる。それはなぜだろう?とまた皆で考える。

高度経済成長期には、同じ手順を皆が平均的にできるようになることが効率的でよかった方法なのだと思いますが、今はもっと創造的破壊を生み出すイノベーティブな人材が必要とされている。その中で同じ実験キットで見本通りに真似する授業が意味を成すのかどうかは…考えてしまいますね。

デジタルなものづくりを行うクラブ活動「メイカーズ・クラブ」の様子(写真提供:ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン)

「内向きの問い」に答え続ける…ISAK卒業生たちの活躍

佐々木:
ISAKで学んだ卒業生たちも少しずつ増え、「社会変革のリーダー」の息吹は感じていますか?

小林さん:
まだ3期生までを送り出したばかりですが…いきなり社会変革に挑んでいなくていいと思うんですよね。まず自分たちの立場から変化を生み出す、ということが大事だと思います。よく私たちは「リーダーシップ・イズ・ア・プラクティス(リーダーシップは訓練を積みながら実践していくもの)」と言っているのですが、自分の目の前からでもいいから、あれっと思ったことはとにかくアクションしようということなんですね。おかしいと思うことはルールを変えるチャレンジをする、これがなくて不便だなと思ったら自分で作ってみる。そういう積み重ねがいつか大きな山を動かすんだと思っているんですね。

佐々木:
何事もまずは小さな一歩から、ですね。

卒業後も学んだことを活かし、リーダーシップを実践していく

小林さん:
そういう意味では、いろいろ起こし始めてくれていますね。アフガニスタンから来た1期生は日本の大学に奨学金で通っているんですが、故郷でも自分が受けたような教育を提供したいと、夏にはアフガニスタンに帰ってサマースクールを始めたんです。今ではそれを見ていた方が土地を買ってくださり、学校を作るという大きなプロジェクトに進んでいっています。

また、2015年のネパール大震災の時に当時在学中だった3人のネパール人と1人の日本人の生徒が、首都カトマンズに集中していた支援物資を震源地のシンドゥパルチョークという小さな村まで険しい山道続きで届いていないと知り、何とかしたいとクラウドファンディングで資金を集めて届け、医療センターを再建したんですね。それが元大統領の表彰の対象にもなりました。

アメリカの名門リベラルアーツ大学に進んだ生徒は、夏休みにニューヨークの国連でインターンしている最中に問題意識をもったホームレス問題のためにチャリティコンサートを実施したり、と様々動いてくれていますね。

佐々木:
これからさらに卒業生たちのアクションが楽しみになってきますね。在学中にはどんなことを大切に声がけされているのですか。

小林さん:
他人の敷いたレールの上を走るな、と(笑)。これから全く未知の世界になっていく中で自分が本当に何をやりたいのか、何に一番ワクワクするのか、社会は本当に何を欲しているのかよく耳を傾けてほしいと、様々な教員が日々生徒たちに声をかけています。つまり一番大切なのは“自分の内向きの問い”なんです。あなたは何に憤りを感じ、何に突き動かされるのだろうか?夜も眠れないくらいワクワクすることって何なのだろうか?

内向きの問いがないままに社会から求められる外向きの問いに答えていると、本当に困難な時に立ち上がれないと思います。最終的には自分が本当に必要だと確信を持てること、信じられることがあれば困難は乗り越えていける。内向きな問いを立てていればそれが強みとなって、たとえ時間はかかっても社会から求められるものと交わる交差点を見つけていけると思っています。

佐々木恭子アナウンサー(左)と小林りんさん(右)

日本社会でも「ダイバーシティー&インクルージョン(多様性と受容)」の価値の重要性が増しています。特に企業においては、切迫して現状打開のために2つの文脈で語られています。

ひとつは、労働力人口の減少から人材確保のために、多様な人材・多様な働き方を認めていく動きが推進するのが不可欠になっていること。もうひとつは、価値観の異なる人がそれぞれの知をぶつけ合うことで、画期的なサービスや技術などイノベーションが生まれるという予測です。

時代のニーズが高まるずっと前から「多様性」の持つ力に気づき、学校という場で実践している小林さん。幾多にわたる困難を乗り越えてこられたのも、小林さんが徹底して「自分とは違う相手の立場に立つ」実践をされてきたからだと感じます。

寄付のお願いも断られることの方が多かったけれど、断られた相手こそ大事に縁をつなぐことを考えたといいます。断られる理由の中に自分たちの事業計画の至らなさや不足点があり、自分たちでは気づかない視点を教えていただいた、そう思って改善していった結果、以前断られた方から後々寄付の申し出がある例も多かったそうなのです。

さて、小林さんに驚くのは困難を乗り越えるしなやかさと強靭さだけではありません。

学校づくりに奔走している最中に2度の出産も経験されているのです。日本に例のない新しい事業を起こし、同時に初めての育児もする…。「子どもを産んですぐにベッドでPCに向かって仕事をしていました」と、これまた豪快に笑い飛ばす小林さん。

一体どうやって「既存ではない」人生を歩むことになったのか、仕事を家庭のバランスはどう保っているのか、これからの後輩女性たちへのあっと意外なメッセージなど、続きは後編で。

(後編に続く)

【インタビュー・執筆:フジテレビ アナウンサー 佐々木恭子】