沖縄県は23日、住民を巻き込み20万人あまりが犠牲となった沖縄戦の終結から80年となる「慰霊の日」を迎え、激戦地となった糸満市で追悼式を開いた。出席した石破首相は戦争の悲惨さと平和の尊さを強調した上で、米軍基地の集中を念頭に「沖縄の負担軽減を目に見える形で実現する」と決意を述べた。
石破首相は挨拶の冒頭、「平和の礎に刻まれた全ての戦没者の無念と残された方々の悲しみを私たちは決して忘れてはならない。私たちが享受している平和と繁栄は、この地で命を落とされた方々の尊い犠牲と、沖縄の歩んだ筆舌に尽くし難い苦難の歴史の上に築かれたもの」と述べ、弔意を示した。
石破首相は、「小泉内閣で防衛庁長官として国民保護法制に携わった際、『決して、民間人が戦に巻き込まれることがあってはならない』という強い思いの下、法整備に取り組んだ。このとき念頭にあったのは、この悲惨な沖縄戦だった」と振り返った。
その上で、「沖縄が負われた深い傷に思いを致し、戦争の愚かさと悲惨さを改めて正面から見つめ、平和で豊かな沖縄の実現に向けて力を尽くすことは、国家の重要な責務だ」と述べた。
また、「沖縄の皆様には、今もなお、米軍基地の集中による大きな負担を担っていただいている」として、「沖縄の負担軽減を目に見える形で実現する。それが私自身の強い決意だ」と強調した。