ハッカソンという言葉をご存知だろうか?ハックとマラソンを掛け合わせた造語で、エンジニアたちがチームに分かれて、決められたテーマに沿って技術を競い合うイベントのこと。2つの大手企業の若手エンジニアがタッグを組み、福島のために何ができるのかを真剣に考え技術開発をしていくイベントが行われた。

テーマは「福島」

大手広告代理店博報堂のテクノロジー会社「博報堂テクノロジーズ」と、大手通信キャリア「ソフトバンク」の若手エンジニア33人が「福島」をテーマに、生成AIを活用した技術の成果物をつくり競い合うのが目的だ。

若手エンジニア33人が参加
若手エンジニア33人が参加
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今回は題材の一つとして、福島テレビで放送している「市町村ウィーク」の映像データなども提供され、若手エンジニアが5チームに分かれて約1カ月で福島の魅力を発信する方法を考える。
博報堂テクノロジーズの篠田裕之さんは「最先端のAI技術を使った、これまでできなかったようなアイディアを実現できるようなものがでてくると面白いなと思っております」と話す。

DAY1「アイデア発表」

2025年5月16日、東京赤坂の会議室でスタートしたDAY1ではチームに分かれてアイデアを発表した。
ソフトバンクからの参加者は「会津若松市しか知らなかった。他にも観光地があって、また行きたいと思うことができた」と話し、博報堂テクノロジーズから参加者は「福島の課題の解決につながるのかということを重視して、形だけにならないようにしたいなと思っています」と話した。

DAY2「成果発表」

2025年6月12日に行われたDAY2では、1カ月で作り上げた成果物を発表した。
発表が続くなか、緊張の面持ちで自分の発表の順番待っていたのは、ハッカソン初挑戦となる博報堂テクノロジーズ入社3年目の樋口建さん(26)。

博報堂テクノロジーズ入社3年目の樋口建さん(26)
博報堂テクノロジーズ入社3年目の樋口建さん(26)

横浜出身の樋口さんは、この1カ月間、福島に住む知人から情報を得るなどして福島県と真摯に向き合って来た。「福島を知っているし、行ったこともある場所だけど、観光地と言われて思いつくものが、あまりないなと最初に思った。まずは自分が知らなくてはと思いました」と話す。

ハイレベルな戦い

樋口さんのグループが考案したアイデアは「FUKUSHIMA推し活メーカー」。ユーザーがそれぞれ推しのコンテンツに分かれて動画を投稿するプラットフォームだ。
「福島県の魅力についての動画が投稿されることによって、ローカルでリアルな情報が若者に遡及できると考えております。推しとしての配信には愛があるという風に思っておりますので、県外の方にも魅力が伝わると思います」と説明する。

樋口さんのチーム「ふくしま担」が開発した「FUKUSHIMA推し活メーカー」
樋口さんのチーム「ふくしま担」が開発した「FUKUSHIMA推し活メーカー」

大きな拍手をもらい降壇した樋口さん。「他のチームの発表は、結構クオリティ高い。みんなこの短い期間で形にしてくるというのは、ひしひしと伝わってきた。勝敗については分からないけど、やれることはやったので良かった」と話した。

ハッカソンだからできる体験

樋口さんが言う通り、今回のハッカソンは激戦となり審査員も頭を悩ませていた。
第1位に輝いたチームは、ユーザーの気分や好みに合わせて福島の日本酒を提案するAIチャットアプリを開発。画像生成でオリジナルの器がデザインできるサービスも搭載した。

1位となった「テックと盃」が開発した「AIが作る、わたしの酒と器。」
1位となった「テックと盃」が開発した「AIが作る、わたしの酒と器。」

そして、樋口さんのチームは映像を活かしたプラットフォームが評価され、福島テレビ賞を受賞した。「自分の出身地とか住んでいる場所じゃない所に、1カ月こんなに向き合うってことが人生なかなかないと思う。今回のハッカソンを通じて、魅力を実感として感じ取れた。違う畑のメンバーが同じゴールに向かって、パッションを燃やしてやるっていうのが僕は大好きだった」と樋口さんは語った。

ハッカソンの参加者たち
ハッカソンの参加者たち

約1カ月、福島と真剣に向き合う若手エンジニアたちのアイデアからは、福島の可能性が見えてくるようだ。

(福島テレビ)

福島テレビ
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