原爆投下から80年。天皇皇后両陛下は19日午前、被爆地・広島に到着されました。陛下の即位後、広島への訪問は初めてです。
今回の訪問の意義について、元広島市長に聞きました。
「天皇家の重い歴史です。あの戦争は。ずっと背負っていくというか」

そう話すのは、平岡敬(たかし)元広島市長(97)です。31年前の1994年、両陛下が初めて揃って広島を訪問された際、市長として原爆慰霊碑に同行しました。
両陛下や上皇ご夫妻を何度も慰霊碑に案内した平岡さんですが、忘れられない出来事は1996年のことでした。

平岡 元広島市長:
7月に『希望のヒロシマ』という本を出したんですね。(上皇さまが)この本を読んでおられたんですよ。『皇太子(当時)が読むよう勧めてくれたんだ』とおっしゃった。
子から父へと渡された、核兵器のない世界を願う1冊の本。

その後皇后雅子さまも読まれたことを知り、被爆地への強い思いをご家族で共有されていると、平岡さんは実感したといいます。
上皇さま、両陛下、愛子さま…受け継がれる思い
原爆投下から4年後の昭和24年(1949年)、当時15歳の上皇さまは初めて広島を訪れ、市民に呼びかけられました。
「その惨劇に二度と人類をおとしめぬよう、大きな力とならなければならないと思います」

その後も10回広島訪問を重ね、犠牲者に祈りを捧げ続けられた上皇さま。
2025年6月、両陛下の沖縄への慰霊の旅に同行した愛子さまもまた、中学3年の修学旅行で広島を訪れ、「世界の平和を願って」と題した作文を寄せられています。

綴られた平和への強い思いは、孫の愛子さまへ受け継がれています。
平岡 元広島市長:
自分の父親の昭和天皇の名において行われた戦争についての反省というのを、上皇さまはずっと担っておられた。天皇ご一家の重い歴史なんですね。
愛子さまもそういう思いがあるからこそ、平和が大事だと言われたのだと思います。
原爆投下から80年。世界情勢も緊迫する中で、両陛下の広島訪問の持つ意味とは。

平岡 元広島市長:
広島に来てあの戦争を思い起こし、2度と過ちを繰り返さないんだと。陛下もやっぱり戦争はだめなんだということを、きちんと国民に示しておられるのだと私は受け止めます。
陛下にとって11回目となる広島訪問。天皇として初めて、被爆地の思いに向き合われます。

(「Live News days」6月19日放送より)